2017年7月17日 (月)

7作品制覇

ヒューマントラストシネマ渋谷『嘆きの王冠 〜ホロウ・クラウン〜』を観る。残っていた『ヘンリー五世』と『リチャード三世』。これでようやく7作品制覇。

まずは、『ヘンリー五世』。

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物語はヘンリー五世の葬儀から始まり、コロス(古代ギリシャ劇では複数だけど、シェイクスピアの作品ではひとり)の語りによって進められていく。コロス役はジョン・ハート。

放蕩息子が一転、名君へ。白馬に乗って登場したと思ったら、フランス大使へ宣戦布告。フランスへ進軍すれば、数々の名演説で兵士たちを鼓舞し、自らも勇猛果敢に戦う。そのうえ、決戦を前にひとり神に祈る姿を見せたり(王冠だけでなく、王位簒奪による罪悪感も、父から息子へ引き継がれていたわけで)、フランス王女キャサリンに対し、王冠を外し、ひとりの男性として求婚したり。トム・ヒドルストンの好演もあり、何とも魅力的な王様。

結局、赤痢であっという間に死んでしまうンだけど、この人が長生きしていたら歴史は変わっていたかも……そんな思いを禁じ得ない。

ってことで、ある意味、トムヒのPVのような作品。

続いて、『リチャード三世』。

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冒頭。リチャード三世の裸の背中がじっくり映される。その禍々しさが後の悲劇を予感させる。演じるはベネディクト・カンバーバッチ。映像ではあるものの、まるで舞台のようにカメラ目線でモノローグを繰り返す。

カンバーバッチより、寧ろ女性陣が印象に残る(すみません、カンバーバッチにまったく興味ないので)。中でも、セシリーのジュディ・デンチ、マーガレットのソフィー・オコネドー、エリザベスのキーリー・ホーズがリチャードを呪うシーンは強烈。
リチャードとリッチモンドの訓示をカットバックで描いていくあたりも、映像ならではの演出でワクワクした。

バッキンガム公のベン・ダニエルズ、どこかで観たと思っていたら、『LAW & ORDER: UK』の検事役か!

ってことで、ジョセフィン・テイ『時の娘』を読み返したくなった。

7作品制覇して真っ先に思ったのは、何かの舞台のアフタートークで、野田秀樹がイギリス人を評して言った「あいつらさぁ、結構、残酷よ」だった。いや、確かに残酷だわ。

◎本日の読書
 『フロスト始末』R・D・ウィングフィールド

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2017年7月14日 (金)

イングリッシュ・ナショナル・バレエ 2017年日本公演『海賊』

2017年7月14日(金)〜17日(月・祝) 東京文化会館
http://www.nbs.or.jp/

[復元振付]アンナ=マリー・ホームズ(マリウス・プティパ、コンスタンチン・セルゲイエフに基づく)
[音楽]アドルフ・アダン、チェザーレ・プーニ、レオ・ドリーブ、リッカルド・ドリゴ、ピョートル・ゲオルギエヴィチ・オリデンブルクスキー、ルドヴィク・ミンクス、ユーリー・ゲルバー、ボリス・フィチンゴフ=シェーリ、アルバート・ザベル、J. ジビン
[編纂]ラース・ペイン、ギャヴィン・サザーランド
[台本]ジュール=アンリ・ヴェルノワ・ド・サン=ジョルジュ、ジョゼフ・マジリエに基づくアンナ=マリー・ホームズ版
[原作]バイロン『海賊』(1814)
[装置・衣裳]ボブ・リングウッド [照明]ニール・オースティン
[指揮]ギャヴィン・サザーランド [演奏]東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団

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2017年7月 9日 (日)

年代順は諦める

ヒューマントラストシネマ渋谷『嘆きの王冠 〜ホロウ・クラウン〜』を観る。上映スケジュールが合わず、『ヘンリー五世』を飛ばして『ヘンリー六世 Part1 & 2』。

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戦争、権力闘争、裏切り、復讐、愛憎……いろんな要素が入っていて、これまでで一番の面白さ。3部作の原作を2部にまとめるため大鉈を振るっていて、それがまた巧いンだわ。

ヘンリー六世のトム・スターリッジが、実に、実に実に繊細。
対するマーガレットのソフィー・オコネドーは、まさに「虎の心」を持ったアマゾネス。ヨーク公をいたぶるシーンとか、ほんっとに怖かった。

Part1ではシルエットのみの登場だったリチャードを、Part2ではベネディクト・カンバーバッチが演じる。ヘンリー六世の暗殺に向かうあたりからリチャードのカメラ目線モノローグが始まるので、そのまま『リチャード三世』も観たくなってしまった(時間の都合で無理だったけど)。

カンバーバッチと言えば、『SHERLOCK(シャーロック)』でジム・モリアーティを演じたアンドリュー・スコットがフランス王ルイだった。

Part1上映後に、翻訳家の松岡和子さんと東京大学教授の河合祥一郎さんによるトークショーあり。以下、覚えていることを簡単に。

サフォークとサマセットをほとんどひとりに集約。
本来、マーガレットの愛人はサフォーク。それを映画ではサマセットにしている。

3部作を2部作にまとめているので、かなり整理している。
カンバーバッチ扮するリチャード三世を中心に再構成したのではないか。

王冠の行方を描き、他はバッサリ切っている。原作には庶民もたくさん出てくる。
映画料理人の腕がよくわかるので、ぜひ原作を読んでください。

役者は、皆、素晴らしい。
ヒュー・ボネヴィル(グロスター公ハンフリー)、ソフィー・オコネドー(マーガレット)、アントン・レッサー(エクセター公)などなど……。

ヨーク公の三兄弟(本当は四兄弟だけど、末弟はすぐ殺されてしまう)=三つの太陽。SONとSUNが掛かっている。
Part1のラストシーン、リチャードはシルエットだけで登場する。影の存在であることを象徴している。

最後にQ&A。

──ヘンリー四世には4人の息子がいた筈ですが、クラレンスは、その後、出てきません。どうなったのでしょうか?
松岡「言及されてないですね。あまり活躍しなかったのかも知れません」

──シェイクスピアが歴史劇で描きたかったことは何でしょう?
松岡「戦争の悲惨さ。父と息子の関係、その多様性」
河合「何故、人は争うのか? リチャード六世はひたすらそのことを問うている。王冠があっちへ行ったりこっちへ行ったり。どちらでも同じ」

──リピーターも多いと思いますので、楽しみ方を教えてください。
河合「音がキレイ。音に集中して観るのはとても贅沢な見方」
松岡「映画はリアリズムだけど、リチャード三世は舞台のようにカメラ目線でモノローグ。カンバーバッチを見つめながら声を聞いてうっとりするものいい。原作との違い(戸外が室内になっていたり、その逆があったり)も楽しんで」

──マーガレットを黒人にしたのは何故でしょうか? また、実際にはどういう女性だったのでしょうか?
松岡「王の娘で美人」
河合「ヘンリー六世が絵を見て結婚を決めたくらいの美人。BBCの制作なので、ユニオンがあり、民族で差別できないことになっている。国籍が違うことに彼らは慣れている」

◎本日の読書
 『寝た犬を起こすな』イアン・ランキン

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2017年7月 8日 (土)

あぁ、なんてこと……

リンク: COME TRUE|カムトゥルー - 俳優・脚本家等のマネージメント及び企画製作・プロデュース業務.

既に報道等でご承知の事と存じますが、7月6日に初日を迎えました「アザー・デザート・シティーズ」の上演中、弊社所属俳優、中嶋しゅうが、舞台下に転落した原因につきまして、検視の結果「急性大動脈解離」を発症していたことがわかりました。

ファンというわけではなかったけど、「この人が出てるなら安心」と思える俳優のひとりではあった。死因は「急性大動脈解離」ということで、ご本人もよくわからないうちの出来事だったのでは? 合掌。

リンク: 中嶋しゅう氏ご逝去にあたって | 新国立劇場 演劇.

中嶋しゅう氏ご逝去にあたって
2017年7月 7日

2017/2018シーズン『ヘンリー五世』に出演を予定していた中嶋しゅう氏が、7月6日にご逝去されました。
新国立劇場では、2000年の『欲望という名の電車』をはじめ、『ヘンリー六世』『あわれ彼女は娼婦』『ヘンリー四世』など、数々の作品に出演され、2018年5月上演の『ヘンリー五世』にもご出演の予定でした。訃報に触れ、深く哀悼の意を表します。

公益財団法人新国立劇場運営財団

これはどうなるのかしらん?

◎本日の読書
 『寝た犬を起こすな』イアン・ランキン

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2017年7月 6日 (木)

最近のお気に入り

イーゴリしゃんの最近のお気に入りはカーテンの後ろ。姿が見えないな……と思うと、大抵、カーテンの後ろに隠れている。

カーテンを捲ってパシャリ。

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ようやく涙も落ち着いてきたような。ンが、油断は禁物。

◎本日の読書
 なし

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2017年6月25日 (日)

先週に引き続き

ヒューマントラストシネマ渋谷『嘆きの王冠 〜ホロウ・クラウン〜』を観る。ここはやはり年代順でないとね……ってことで、本日は『ヘンリー四世 Part1 & 2』。

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ンが、監督も脚本も違うので、『リチャード二世』からの連続性はあまり感じられず。ただ、リチャード二世の呪詛を聞いた後だと、ヘンリー四世が王位簒奪に対して深い罪の意識を抱き、贖罪のためにエルサレム遠征を考えるのも当然かな、と。

ヘンリー四世のジェレミー・アイアンズはさすがの巧さ。若手を立てて自分は脇に回っているようで、持っていくところはしっかり持っていく。

ハル王子のトム・ヒドルストンは、放蕩息子にしては、少々、落ち着き過ぎの感がなきにしもあらず。反面、最後のフォルスタッフ(サイモン・ラッセル・ビールが好演!)の拒絶は苛烈で、切り捨てる側の残酷さがよく出ていた。

そして、今回は『刑事ヴァランダー』(トム・ヒドルストンがヴァランダーの同僚刑事役で出演)や『LAW & ORDER: UK』(コルヴィル役のドミニク・ローワンが検事役で出演)を思い浮かべたり。海外のミステリドラマばかり観てるからだよな。

ちなみに、昨年の新国立劇場の舞台(感想はここここ)がハル王子の成長物語なら、本作は王冠が主役というか、まさしく王位継承の物語だった。

◎本日の読書
 『ブラックボックス』マイクル・コナリー

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2017年6月18日 (日)

聖セバスチャンのモティーフ

ヒューマントラストシネマ渋谷『嘆きの王冠 〜ホロウ・クラウン〜』の『リチャード二世』を観る。

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同性愛の守護聖人である聖セバスチャンのモティーフが効果的に使われている。特に、最後のベン・ウィショーの姿には胸を衝かれた。

観ている最中、アガサ・クリスティを思い浮かべてしまったのは、ヨーク公のデヴィッド・スーシェ(エルキュール・ポワロ役で有名)とオーマール公のトム・ヒューズ(『ミス・マープル6/終わりなき夜に生まれつく』主演)のせい?

オーマール公と言えば、彼にリチャード二世を暗殺させたのにはビックリした! ま、あれはあれで説得力あるよな。

どうでもいいけど、実際には「ボリングブルック」と呼んでいるのに、字幕は「ヘンリー」となっているのが、気になって気になって。

予告編のナレーションは河合祥一郎先生。ご自分の声がいいことを、よ〜くわかってらっしゃる(笑)。

◎本日の読書
 『ブラックボックス』マイクル・コナリー

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ウリヤーナ・ロパートキナが引退

マリインスキー劇場がウリヤーナ・ロパートキナの引退を発表。
https://www.mariinsky.ru/news1/2017/06/16_3

こちらはVKの記事。舞台写真もあり。
https://vk.com/wall-130074765_1202

今シーズンは怪我で休んでいたけど、結局、それが治らなかった、ってこと? そうなると、引退公演もなし? それもまた彼女らしい。

『白鳥の湖』、『瀕死の白鳥』、『ジュエルズ/ダイヤモンド』、『シェヘラザード』、『パ・ド・カトル』、『アンナ・カレーニナ』、『愛の伝説』……数々の名演が目に浮かぶ。でも、一番印象に残っているのはイーゴリ・コールプと踊った『パヴロワとチェケッティ』だったり。あ、コールプとは『ザ・グラン・パ・ド・ドゥ』もあったっけ。

何はともあれ、お疲れ様でした。

ってことで、本日観た映画については、別エントリーにて。

【追記】
ジャパン・アーツのサイトにロパートキナのメッセージと舞台写真が掲載されてます。
http://www.japanarts.co.jp/news/news.php?id=2795

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2017年6月15日 (木)

結局

ボリショイ・バレエの来日公演は1回も観に行けませんでした。

SNSで「バレエファンなら、絶対、行くべき!」なんて書き込みを目にするたびに、寂しさを禁じ得ない。こんな状態がいつまで続くのやら。やれやれ。

さ、深呼吸して頑張ろう。

◎本日の読書
 なし

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2017年6月11日 (日)

ヴィレッヂ『クヒオ大佐の妻』

2017年5月19日(金)~6月11日(日) 東京芸術劇場 シアターウエスト
http://kuhiowife.com

[作・演出]吉田大八 [美術]伊藤雅子 [照明]佐藤啓 [音響]加藤温
[衣裳]高木阿友子 [ヘアメイク]二宮ミハル [殺陣指導]前田悟

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