« 新国立劇場バレエガラ《THE CHIC》 | トップページ | 歌舞伎四百年 十一月公演『宮本武蔵』 »

2003年10月11日 (土)

牧阿佐美バレヱ団『眠れる森の美女』

2003年10月11日(土)&12日(日) ゆうぽうと簡易保険ホール

[演出・振付]テリー・ウエストモーランド(マリウス・プティパによる)
[作曲]ピョートル・I・チャイコフスキー [美術]ロビン・フレーザー・ペイ
[音楽監督・指揮]堤俊作 [管弦楽]ロイヤルメトロポリタン管弦楽団

オーロラ姫:上野水香(11日)/平塚由紀子(12日)
フロリモンド王子:ウラジーミル・ネポロージニー/逸見智彦
リラの精:田中祐子/坂西麻美
カラボス:本多実男
フロレスタン24世王:京谷幸雄
王妃:沢田加代子

妖精:佐藤朱美、橋本尚美、笠井裕子、青山季可、伊藤友季子
カバリエール:相羽源氏、塚田渉、保坂アントン慶、今勇也、菊地研、カール・テーラー
4人の王子:山本成伸、保坂アントン慶、菊地研、カール・テーラー

金の精:相羽源氏/菊地研
銀の精:佐藤朱美
サファイアの精:今勇也
ダイヤモンドの精:大畠律子/橘るみ
白猫:笠井裕子/橋本尚美
長靴をはいた猫:保坂アントン慶
フロリン王女:橘るみ/青山季可
ブルーバード:菊地研/相羽源氏
赤ずきん:野崎友紀/竹下陽子
狼:秋山聡/塚田渉

【プロローグ】

まずは「お金かかってます」風な装置と衣裳が『眠り』らしくてgood。
伝令官の邵治軍。相変わらず顔が小さい。同じ東洋人なのに何故こうまで違う?
上手側、開け放たれた扉(その向こうは庭園?)から、カバリエールにリフトされた妖精たち登場。妖精のチュチュとカバリエールのサッシュ。色を揃えていてちょっと可愛い。

菊地研は佐藤朱美(森の聖地の精)とペア(他のペアは記憶が曖昧なので省略……すみません)。12日はちょっとヒヤヒヤした瞬間もあったが、両日ともよく踊っていたと思う。妖精と見つめ合うところでは、過剰な色気を振りまいてみたり(笑)。

リラの精はどちらもよかったが、好みを言えば、坂西麻美か。「毅然として、なおかつ優雅」というリラらしさがよく出ていた。
手下のねずみが引っ張る“ねずみ車”で登場するカラボス。本多実男はショーパブのママか美輪明宏か、って感じで、思わず人生相談したくなる(笑)。

テリー・ウエストモーランドの覚え書きによると、時刻は夕刻らしいが、外気のあたるところに赤ん坊を寝かせたりして風邪でもひかないかしらん? などと、いらんことを考えているうちに幕。

【第1幕 呪い】

宮廷の娘たちによる花輪を持った踊り。あまりの賑やかさに愕然。そこまでうるさくしなくても、ってゆうか、ここの舞台は構造的に問題があるのだろうか? 他のダンサーも結構気になったのよね。

4人の王子は衣裳によって国を表現しているようなのだが、これがイマイチ不明。保坂アントン慶のフランスの王子はプログラムにクレジットされているが、他の3人を推測すると、山本成伸=インドの王子(頭にターバン)、菊地研=スペインの王子(そこはかとなく闘牛士風)、カール・テーラー=ロシアの王子(帽子が暖かそう)かな。いや、まったく自信ないけど。

菊地研のスペイン王子(推測)は、白地に金の刺繍が豪華な闘牛士風の衣裳(赤いマント&でかい帽子付き)で、右耳に長いイヤリング、右手中指に大きな赤い指輪。妙に艶かしくて、何だか男装の麗人っぽい。オーロラ姫の友達が王子に扮しているとか、そんな感じ……って、よくわかんないっすね。とにかく、微妙に役作りを間違えているような気はするのよ。でも、似合っていたから許す。

そして、いよいよオーロラ姫の登場。
まずは上野水香だが、2日目のせいか、いささか不調。ローズ・アダージオのアチチュードも、彼女にしては安定感に欠ける(もちろん、他のダンサーと比べれはそれでも技術的には高いのだが)。でも、そんなことよりも、オーロラらしい愛らしさや華やかさが全然感じられなかったのが残念。この役は上野水香に向いていると思っていたので、それがかなり意外。う〜む、いつまでも「今後に期待」でもないよな……。

平塚由紀子のオーロラは、体温が感じられるというか、どう踊りたいのかがとてもクリアで、しかも説得力があって、期待以上に素晴らしい出来栄え。確かに、アチチュードやピルエットなどハラハラするところもないわけではないが、逆にそれがオーロラらしいと言えばらしいし。

サポートはほとんど保坂アントン慶が担当(他の3人はピルエットでも花を渡すだけ)。フランス王子だけ優遇していいのかしらん?
オーロラ姫の友達の踊りで、何気に目立っていた吉岡まな美。

【第2幕 狩〜幻〜旅〜目覚め】

いや、もう、ここはネポロージニーの脚に尽きる。惚れ惚れ〜。長い、細い、美しい。
脚ではいささか劣るかも知れないが、逸見智彦もお見事。いや、もう、どこから見ても王子だわ。

1場(狩)では、公爵夫人の田中祐子(12日)と従者の今勇也がいい。ふたりとも、その役らしくその場に存在している。

2場(幻)は、そんなに露骨に誘っていいの?>上野水香
何かちょっと下品なような。普段は感情表現をどこかに置き忘れてきたように踊っているのに、何故こういうところだけ濃い? ま、これはこれで面白かったけど。

3場(旅)で王子とリラの精が乗る貝殻のゴンドラ。何故に貝殻? う〜む、よくわからない。城の門前に陣取っているねずみもあっさり降伏しちゃうし、カラボスはオーロラの横で王子を待っているし。やっぱりよくわからない。大体、どうして王子は戦わない? ってことで、甚だ盛り上がりに欠ける4場(目覚め)。

【第3幕 結婚式】

ディヴェルティスマンでは、銀の精を踊った佐藤朱美の巧さが光る。
サファイアの今勇也。振付自体はそれほどいいとも思わなかったが、彼のシャープな持ち味に合っていてよかった。

菊地研のブルーバード。と〜っても軽くて、着地音もちゃんと消していて、懸念していたサポートも「よくできました」って感じ。アントルシャやブリゼといった脚技系はよかったので、今後の課題は手(指先)の表情かな。
金の精はパートナーとの距離の取り方がイマイチ。離れ過ぎて、サポートに微妙に遅れてみたり。他の役で漂わせていた色気もなく、あっさり終わっていたのも残念(いや、それでいいンだって)。
橘るみとは身長のバランスもよさそうだし、片や濃い顔、片や濃い色気で、12月の『くるみ割り人形』は案外いいペアになるかも(って、ちょっと違うような)。

そして、主役ふたりの登場と、それに続くグラン・パ・ド・ドゥ。
これはもう、客席の雰囲気が12日の方が格段にいいのよ。11日は急なキャスト変更もあって、客席にもどこか冷めた空気が漂っていたが、12日は平塚由紀子の主役を待っていたファンの熱い思いが客席に満ち満ちていて、特に彼女のファンでもなかった私ですら幸福感に包まれてしまったほど。やっぱり舞台は生物だわ。

格別、上野&ネポロージニーが悪いというわけではないし、長身同士の踊りは見応えもあったが(牧バレヱには彼女の身長に釣り合うダンサーはいないものね)、どちらがより印象に残ったかと言えば、文句なく平塚&逸見に軍配が上がる。フィッシュ・ダイブに挑戦していたのもポイント高いわ(ちょっとドキドキしたけど)。

そして、相変わらずひどいオケ。いつまでもあのオケで踊っていたら、碌なことにならないよ、ホント。

|

« 新国立劇場バレエガラ《THE CHIC》 | トップページ | 歌舞伎四百年 十一月公演『宮本武蔵』 »

2003年鑑賞記録」カテゴリの記事