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2003年12月21日 (日)

歌舞伎四百年 十二月大歌舞伎 昼の部

2003年12月21日(日) 歌舞伎座

新之助が初役で実盛を演じる。大丈夫? まだ早くない? う〜む、不安……。

『舞妓の花宴』

白拍子和歌妙:中村福助

幕開けは変化舞踊。烏帽子、水干姿に太刀を佩いた男装の白拍子が、水干を脱ぎ烏帽子を取って赤い衣裳の娘姿になる。さらに、長唄の手事の後は薄桃色の衣裳に変えて現われ、団扇太鼓や振り鼓を使った賑やかな踊りが続いていく。

最近の福助は、いろんな意味で崩れてきているような。

『源平布引滝 実盛物語』

斎藤別当実盛:市川新之助
九郎助娘 小万:中村扇雀
百姓 九郎助:松本幸右衛門
倅 太郎吉:清水大希
九郎助女房 小よし:市川升寿
御台 葵御前:市川亀治郎
瀬尾十郎兼氏:市川左團次

木曽義仲の誕生秘話を綴った一幕で、実盛は情と知を兼ね備えた生締めの捌き役。
観る前は「新之助にはまだ早いのではないか?」と、思っていたが、いやいや、どうして、初役ながら、凛々しく颯爽とした実盛を実に立派に演じてみせた。

まず、ひとつひとつの型がとても丁寧で美しい。所作の積み重ねが型になり、型の積み重ねが役になる。そのことを新之助はよくわかっているのだろう。特に、見得の巧さは抜群で、パッと決まった瞬間の気持ちいいこと!

小万の腕を切り落とした次第を仕方話で語る見せ場も、情景をリアルに描き出し、緊迫感に溢れている。ただし、セリフ。特に、義太夫狂言の音遣いがまだまだ。そのあたりは今後の課題。

ちなみに、今回は團十郎(義太夫などまったく気にしないマイペースな父)に教わったらしいが、それで何故こんなに絃に乗れるのだ?(笑)

瀬尾の左團次、九郎助の幸右衛門、小よしの升寿ら、ベテランたちが脇を支える。
葵御前の亀治郎、出てきただけで格の高さが感じられるのがいい。子役の清水大希も好演。

『仮名手本忠臣蔵 道行旅路の嫁入』

本蔵妻 戸無瀬:中村芝翫
奴 可内:中村橋之助
娘 小浪:中村福助

『忠臣蔵』の八段目。

桃井若狭之助の家老・加古川本蔵の娘・小浪と塩冶判官の家老・大星由良之助の嫡男・力弥は許嫁の約束を交わした仲だったが、塩冶判官が高師直に刃傷に及んで塩冶家は断絶、祝言どころではなくなってしまった。しかし、本蔵の後妻・戸無瀬は、力弥に恋焦がれる小浪を思いやり、義理の娘の望みを叶えてやろうと、小浪を伴い大星親子が隠棲する山科への旅に出る。その道中を綴った一幕。この後に来月歌舞伎座で上演する《山科閑居》がくるわけね。

芝翫、福助、橋之助の親子共演。
戸無瀬の芝翫が立派。橋之助もきっちりしていていい。
小浪の福助、可愛らしく見せてはいるのだが、やはりどことなく崩れた印象が……。

『西郷と豚姫』

西郷吉之助:市川團十郎
芸妓 岸野:中村福助
中村半次郎:中村橋之助
舞妓 雛勇:尾上松也
廻しの男 留吉:中村錦吾
仲居頭 おふく:中村歌江
同心 兵馬:市川右之助
同心 新蔵:市村家橘
大久保市助:中村東蔵
仲居 お玉:中村勘九郎

幕末の京都を舞台に、太っているため“豚姫”と呼ばれる仲居のお玉と薩摩藩の西郷吉之助(隆盛)の、ちょっぴりユーモラスな純愛物語。

勘九郎のお玉が可愛い。京女のやわらかさ、いじらしさがとてもよく出ている。幕切れ、西郷から渡されたお金を両手で大事そうに握りしめ懐に入れると、その上からそっと抱きしめる。その仕草に女の可愛らしさが感じられる。

対して、團十郎の西郷は体格こそ大きいが、茫洋とした人物らしさはイマイチ。

雛勇の松也(可愛い!)、岸野の福助(そうなのよ、福助はこういう飲んだくれの芸妓あたりをやらせると巧いのよ)、共に好演。橋之助の血気に逸る中村半次郎もよかった。

ただ、大久保市助(利通)の東蔵にはもう少し大きさが欲しい。西郷と一緒に日本の近代化を進めた人物であり、大胆な西郷に対して、慎重で思慮深い大久保、その対比を見せてくれないと、どうにも物語が締まらない。

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