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2004年4月 1日 (木)

東京バレエ団創立40周年記念公演《ベジャール・ガラ》

◆プログラムA
2004年4月1日(木) ゆうぽうと簡易保険ホール

客席は、開演前から異様なほどの高揚感に包まれていた。
首藤康之、最後の『ボレロ』。あの日、ステージ上で繰り広げられた20分ほどの短い踊りに何か特別な意味やドラマを見い出したような気がするのは、あるいは、こちらの勝手な思い込みなのかも知れない。とは言え、あの場に立ち会えたことを心から幸せに思えるような素晴らしい公演だったことは間違いない。

『ペトルーシュカ』
[振付]モーリス・ベジャール [音楽]イーゴリ・ストラヴィンスキー

青年:古川和則
若い娘:吉岡美佳
友人:大嶋正樹
魔術師:芝岡紀斗
三つの影:後藤和雄、平野玲、中島周
四人の男:高橋竜太、窪田央、倉谷武史、高野一起
四人の若い娘:佐野志織、太田美和、高村順子、小出領子

いいなぁ、ストラヴィンスキー。ふとした瞬間に現れる日常の裂け目。その不穏な雰囲気を、不穏な音楽がさらに盛り上げる。

青年の古川和則、ペトルーシュカ、ムーア人、女の切り替えが平板。もう少し鮮やかに見せて欲しい。
若い娘の吉岡美佳、愛らしさで存在感をアピール。友人の大嶋正樹、ちょっとコール・ドに埋もれている?

本来なら、どこにでもいる普通の青年に起こる普遍的な物語なのだと思う。でも、古川和則って、妙に踊りがたおやかで、何かちょっといぢめられキャラ入っていて、それ故に魔術師からちょっかい出されたような気がしないでもない(笑)。
ンで、その魔術師だが、キラキラの衣裳しか記憶にないっす。

『ギリシャの踊り』
[振付]モーリス・ベジャール [音楽]ミキス・テオドラキス

イントロダクション
パ・ド・ドゥ(二人の若者):大嶋正樹、古川和則
娘たちの踊り
若者の踊り
パ・ド・ドゥ:吉岡美佳、中島周
パ・ド・ドゥ(ハサピコ):井脇幸江、後藤晴雄
テーマとヴァリエーション
 ソロ:後藤和雄
 パ・ド・セット:太田美和、高村順子、門西雅美、小出領子、長谷川智佳子、西村真由美、川口愛美
フィナーレ

波の音。舞台全体に散らばる大勢のダンサーたち。男性は白いパンツ、女性は黒のレオタード。実にシンプルな衣裳。ゆっくりと片足を上げ下げしながら、少しずつ変わっていくフォーメーション。やがて聴こえてくるテオドラキスの音楽。様々な文化、文明、宗教が交錯し、出会いの場となった恵みの海、地中海。そこで育まれた地中海ミュージック。ツボだ、まさに私のツボだー!

海を象徴するコール・ドが静かに消えていくと、続いて、二人の若者が登場する。2月の『中国の不思議な役人』では共に“娘”を踊った大嶋正樹と古川和則。実に溌溂としている。お互いが触発し合うような踊り。高まるテンション。

その後は次々と場面が変わり、入れ替わり立ち替わり現れるダンサーたちが、再び波の音で終わるフィナーレまでを、躍動感あふれる鮮やかな踊りで彩っていく。
特に、スピードにノリながら見事に抑制されていたパ・ド・セットが秀逸。

『ボレロ』
[振付]モーリス・ベジャール [音楽]モーリス・ラヴェル

首藤康之
飯田宗孝、森田雅順、木村和夫、後藤晴雄

『ボレロ』という曲をいいと思ったことは一度もない。もともとトリッキーな曲が好きなので、あんな単純で何の発展性もない曲のどこがいいのか、いつも疑問に思っていた。ま、結局、simple is bestってことなのだろう。

クライマックスに向けてメロディとリズムが呼応するように舞台と観客も呼応し、ラストで、リズムがメロディを呑み込んでしまうように観客が舞台を呑み込んでしまった今回の『ボレロ』を観て、改めて、この曲の奥深さや怖さを思うと同時に、その狂騒の中、ひとり高みにいるかのような首藤康之が何やらとても印象的だった。

とまれ、傑出した“ボレロ・ダンサー”であった彼の最後の舞台と、それをスタンディング・オベーションで称えたカーテンコールは、きっとバレエファンによっていつまでも語り継がれることだろう。

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