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2004年4月18日 (日)

新国立劇場バレエ団『ロメオとジュリエット』

2004年4月18日(日) 新国立劇場 オペラ劇場

[振付]サー・ケネス・マクミラン [作曲]セルゲイ・プロコフィエフ
[演出]ジュリー・リンコン [監修]デボラ・マクミラン
[指揮]アンソニー・トワイナー [管弦楽]東京フィルハーモニー交響楽団

今年2度目の『R&J』。でも、前回はレニングラード国立バレエによる、とてつもなく妙なボヤルチコフ版だったので、今回は口直し(になったのか?)。前売券は敢え無く玉砕。ってことで、朝7:30から当日券に並ぶ。そして、開演する頃には、寝不足からくる激しい頭痛に襲われる。トホホ。

ジュリエット:アレッサンドラ・フェリ
ロメオ:アンヘル・コレーラ
マキューシオ:吉本泰久
ティボルト:ゲンナーディ・イリイン
ベンヴォーリオ:マイレン・トレウバエフ
パリス:森田健太郎
キャピュレット卿:本多実男
キャピュレット夫人:楠本郁子
乳母:大塚礼子
ロザライン:真忠久美子
大公:長瀬信夫
ロレンス神父:市川透
3人の娼婦:湯川麻美子、西川貴子、前田新奈(たぶん)
ジュリエットの友人:遠藤睦子、高橋有里、西山裕子、さいとう美帆、寺島ひろみ、本島美和

【第1幕】

街の広場。舞台からは、そのざわめきがまったく感じられない。
3人の娼婦が垢抜けないのはともかく、肝っ玉母さんみたいでどうするよ? もっと性の匂いを醸し出せないものか。特に前半は、マキューシオや乳母をはじめ、全体に「明け透けな猥雑さ」が必要不可欠なのだから。

アンヘル・コレーラのロメオ、若々しく、美しく、一瞬も休むことなく恋にその身を焼き尽くす。常に白い歯を見せて笑っているあたりも、直情型の脳天気さを感じさせていいのではないかしらん。ガラなどの印象と違い、全幕では踊りも思いのほか丁寧。

アレッサンドラ・フェリのジュリエット、これがまた絶品。決して、過剰に役作りをしているわけではない。むしろ、余計なことはしない。だからこそ、明晰なのだ。ジュリエットの心の動きが手に取るように伝わってくる。

ベンヴォーリオのマイレン・トレウバエフ、地味ながらキレイな踊りで存在感をアピール。マキューシオの吉本泰久、この人にしては驚くほど踊れていない。脚が伸び切っていないのか、踊りがすんごく小さく見える。恋を理想化し、一途にのめり込んでいくロメオに対し、大らかに性を茶化すマキューシオ。強烈な野性や何ものにもとらわれない陽気さが、吉本のマキューシオからはまったく感じられない。

パリスの森田健太郎、金髪にする必要があるのか? 本人の役作りなのか、あるいは、演出家の指導なのかは不明だが、どちらにしても意味がないと思われ。ってゆうか、それ以前に、痩せろー! 頼むから痩せてくれー!!

ロザラインの真忠久美子が好演。

【第2幕】

あっという間に燃え上がったロメオとジュリエットの恋は、バルコニーでの密やかな再会を経て、翌日の結婚、広場での喧嘩、マキューシオの死、ティボルトの死と、運命の魔手に絡め取られていく……。

ロメオとジュリエットの恋が、悲劇の側に大きく転ずる切っ掛けとなるマキューシオとティボルトの決闘。完全に吉本泰久がゲンナーディ・イリインに負けている。ま、実際、やられちゃうンだけど(いや、そういう意味じゃなくて)。
生命力に溢れたこの若者は、最後まで軽口をたたきながら死んでいく。だからこそ、運命の過酷さが際立つのだ。横溢する命を感じさせないマキューシオなんて、マキューシオじゃない(泣)。

ロレンス神父の市川透、軽すぎ。あまり踊らない役だから、却って難しいのかもね。
この幕の見せ場は、ただもう、マンドリン・ソリストのグレゴリー・バリノフだわ。あんな妙な衣裳(ポンキッキのムックのような、あるいは、赤いナマハゲのような)も似合うなんて、素晴らしいっ!

【第3幕】

ジュリエットと一夜を共にしたロメオはマンテュアに旅立ち、ひとり残されたジュリエットはパリスとの結婚を迫られる。たたみかけるようなプロットと暗く不安な短調の旋律が、“星に災いされた”恋人たちを追いつめていく……。

ここはもう、フェリの独壇場。因襲の呪縛を自らの意志で断ち切り、ロメオとの愛を選んだジュリエットは、仮死の薬に身を委ねる。もしかしたら本当に訪れるかも知れない死への恐怖、自分が目覚めることになるであろう霊廟のおぞましさ、そうした感情の隅々までを鮮やかに描き出すフェリ。

やがて仮死の眠りから目覚め、傍らに横たわるロメオの姿に気づいたジュリエットは、今度こそ「幸せな短剣を己が身の鞘に収めて」息絶える。いやいやいやいや、実に感動的なジュリエットだわ!

改めて、プロコフィエフの音楽の素晴らしさに気づかされる。ンが、オケは今までの新国で一番酷かった。金管が弱い。特に、ホルン。台なしだぞ。

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