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2004年7月20日 (火)

ルグリと輝ける仲間たち 2004

◆プログラムA
2004年7月20日(火) ゆうぽうと簡易保険ホール

公演直前の週末に大阪遠征。どっぷり歌舞伎に浸っていたため、最初、頭が切り替わらなくて困ってしまった。おまけに、何の予習もしておかなかったので、スジェあたりは誰が誰だか区別つかないし。ま、一番のお目当ては5月にエトワールに昇進したマチュー・ガニオだったわけで。音楽は特別録音によるテープを使用。

【第1部】

『精密の不安定なスリル』
[振付]ウィリアム・フォーサイス [音楽]フランツ・シューベルト

ミリアム・ウルド・ブラーム、ミュリエル・ズスペルギー
ドロテ・ジルベール
オドリック・ベザール、エルヴェ・クルタン

男性陣はワインレッドのTシャツ+短パン。女性陣は蛍光グリーンのチュチュ(それもペラペラなソノシートみたい)で、裏地は黒。男女とも背中はベージュなので、一見、何も身につけていないように見える。この衣裳だけで掴みはOK?

「振付:ウィリアム・フォーサイス」からイメージしていたものとは随分違っていた。バランシンみたいな? あぁ、でも、それ以前に、自分自身がバレエモードに切り替わってないじゃん。仕方ない。この演目はモードチェンジに充てよう……。

男性陣、見栄えがいいのはオドリック・ベザール、でも、最後まで安定していたのはエルヴェ・クルタン。生意気そうな表情のドロテ・ジルベールが印象に残る。

『アベルはかつて…』
[振付]マロリー・ゴディオン [音楽]アルヴォ・ペルト

ステファヌ・ビュリヨン、ヤン・サイズ

今回の出演者でもあるマロリー・ゴディオンによる振付。男性同士の力強い、それでいて、静謐なパ・ド・ドゥ。

タイトルからもわかるように、カインとアベルの物語。兄弟の絆が、時にユニゾン、時にシンメトリーと、形を変えて描かれる。衣裳は白いパンツのみ。床に敷かれた白布の使い方が印象的。

ステファヌ・ビュリヨンの坊主加減がなかなかGood(笑)。

『エスメラルダ』よりパ・ド・ドゥ
[振付]マリウス・プティパより [音楽]リッカルド・ドリゴ

オレリー・デュポン、マチュー・ガニオ

幕が開いた瞬間の拍手が物凄い。飛び級でスジェからいきなりエトワール。来日直前に踊った『ラ・シルフィード』のジェームスも好評。そりゃ、期待値も高くなるわな。

ってことで、初めて観るマチュー・ガニオ。少しほっそりしているが、顔が小さく、首も手足も長くて、本当にプロポーション抜群! ンが、正直、踊りは「今後に期待」。特に、サポートが危なっかしくて観ていられない。う〜む、パリオペのエトワールとは言え、まだ若いし、これからなのかしらん?

その代わりと言っては何だが、オレリー・デュポンがメチャメチャ奮闘。年下のパートナーをリードする頼りになる姉御。その凛とした佇まいが美しい。タンバリン使いも迫力満点。でも、一番印象に残ったのは、アダージオでの長い長いバランス。

『マニフィカト』(アリア)
[振付]ジョン・ノイマイヤー [音楽]ヨハン・S・バッハ

エリザベット・プラテル、ヤン・サイズ

聖母マリアが神を讃えるために歌った『マニフィカト』。観る者の心に、穏やかな安らぎを与えてくれる、そんな佳品。

エリザベット・プラテルはさすがの存在感。でも、ヤン・サイズも負けていない。そっかぁ、これもノイマイヤーだったか……。

『四重奏のフレーズ』
[振付]モーリス・ベジャール [音楽]ピエール・アンリ

マニュエル・ルグリ、賛助出演:東京バレエ団

上手にレッスンバー。中央に1本の白いロープ。天井からぶら下がっている。下手には椅子が4脚。冒頭、バーの上でアラベスクをするマニュエル・ルグリ。衣裳はゆったりとした赤いパンツ。やがて、黒ずくめの女性が4人登場、椅子に座って、ひたすら赤い毛糸を紡ぎ続ける……。

なんつーか、ベジャールの“私語り作品”はイマイチ苦手かも。ま、個人的な想いを綴りながらも、ちゃんと普遍性は有しているンだけどね。

最後は、マイクを持って話し出すルグリ。

素晴らしい指導者たちとともに、ダンスを学んだ。
自然の中を散策しながら、ダンスを学んだ。
スタジオで汗をかきながら、ダンスを学んだ。
飼い猫のことを観察しながら、ダンスを学んだ。
部屋で瞑想にふけりながら、ダンスを学んだ。
野菜スープを作る祖母を眺めながら、ダンスを学んだ。
舞台で踊る名ダンサーを観ながら、ダンスを学んだ。
バーレッスンに励みながら、ダンスを学んだ。
海で泳ぎながら、ダンスを学んだ。
夜、せまい山道を車で走りながら、ダンスを学んだ。
“しあわせな日々”を演じるマドレーヌ・ルノーを観て、ダンスを学んだ。
体中の筋肉や腱や関節を痛めながら、ダンスを学んだ。
しばしば映画館に通いながら、ダンスを学んだ。もっと、さらに……光を。

カーテンコールでは花束を渡すファンが数名。ソロの時は渡しやすいね。

【第2部】

『ディアナとアクティオン』
[振付]アグリッピーナ・ワガノワ [音楽]チェーザレ・プーニ

エレオノーラ・アバニャート、ステファヌ・ビュリヨン

ステファヌ・ビュリヨンがヴァリアシオンで大技披露して、一瞬、客席を沸かしたりもしたが、なんつーか、ふたりとも踊れていないような。あるいは、それぞれの持ち味に合っていなかったとか?

この時もカーテンコールで花束を渡すファンがいたンだけど、エレオノーラ・アバニャートが受け取ろうとしたのを、何が何でもビュリヨンに渡すのって、ちょっとどうかと思うぞ。もっとスマートにやってくれ。

『幻想〈白鳥の湖〉のように』
[振付]ジョン・ノイマイヤー [音楽]ピョートル・I・チャイコフスキー

オレリー・デュポン、マニュエル・ルグリ、ヤン・サイズ

今日一番気に入ったのが、これ。バイエルンの狂王ルートヴィヒII世の物語。

オレリー・デュポンが、先程とは打って変わって、切なげな風情で魅せる。衣裳も素敵。ブルーのドレスの下、幾重にも重なるペチコートが、回転の度に美しいラインを描く。

短い出番ながらも、ヤン・サイズが好演。

『チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ』
[振付]ジョージ・バランシン [音楽]ピョートル・I・チャイコフスキー

メラニー・ユレル、マロリー・ゴディオン

パリオペは淡いブルーの衣裳なのね。瑞々しくていいわ。

でも、このふたり、パートナーシップがイマイチよくないような。どちらもソロの方が伸び伸びと踊っていたし。

全体的には大きな破綻もなく、徐々に調子を上げて何とかまとめたかなぁ……と、思った途端、ラストのリフトがメチャメチャ低い。ってゆうか、上げ損なったのか?

『フー・ケアーズ?』
[振付]ジョージ・バランシン [音楽]ジョージ・ガーシュイン

第1パ・ド・ドゥ:エレオノーラ・アバニャート、マチュー・ガニオ
第1ヴァリエーション:ミュリエル・ズスペルギー
第2パ・ド・ドゥ:オレリー・デュポン、ヤン・サイズ
第2ヴァリエーション:メラニー・ユレル
第3パ・ド・ドゥ:ミリアム・ウルド・ブラーム、エルヴェ・クルタン
第3ヴァリエーション:ドロテ・ジルベール
第4ヴァリエーション:マニュエル・ルグリ

オーケストレーションされたガーシュインで踊る『フー・ケアーズ?』。適度に上品で、遊び心もあって、チャーミングな作品。男性陣は白いシャツに、きらびやかな黒のベストと黒のパンツ。女性陣は色取り取りのミニ・ドレス。

エレオノーラ・アバニャートとマチュー・ガニオの若く溌剌としたペアもいいが、オレリー・デュポンとヤン・サイズの大人の雰囲気も捨て難い。メラニー・ユレルの軽快感、ドロテ・ジルベールの小気味良さも新鮮。

しっかし、これはやはり、マニュエル・ルグリに尽きる。全員で踊っていると、否が応でも彼に目がいく。直前に怪我で舞台を降板したとは思えない踊りっぷり。素晴らしいっ!

【フィナーレ】

音楽はエドワード・エルガーの行進曲『威風堂々』第1番。これ、NBSの定番なの?

終わってみれば、4曲も踊っていたヤン・サイズ。それも、すべて器用にこなしていた。この手のプロダクションにひとりいると、とっても便利な存在って感じ。

ところで、パリオペの若手って、全般的にクラシックが弱いのかしらん?

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