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2004年8月14日 (土)

シアター・ドラマシティ ダンスアクトシリーズ vol.4『盤上の敵』

2004年8月14日(土) 青山劇場

[原作]北村薫 [作曲]宮川彬良 [演出・振付]上島雪夫、服部有吉
[ミュージシャン]宮川彬良(pf)、森由利子(vln)、山本裕康(cello)、中村祐子(perc)

原作は北村薫による同名小説。第一級の本格ミステリ、それも、実に見事な叙述ミステリである。何よりもその秀逸な語り口が特徴の原作を、一体、どんなふうに舞踊化するのか? しかも、ふたりの振付家がそれぞれのアプローチで作品を創るそうな。果たして、制作サイドの狙いどおり、「ひと粒で二度おいしい」になるのだろうか?

【第1幕 −上島バージョン−】

白のキング:西島千博
黒のキング:遠藤康行
白のクイーン:藤井美帆
黒のクイーン:平山素子
白のダンサー:平野亮一、張緑睿
黒のダンサー:森山開次、佐藤洋介

自宅に猟銃を持った殺人犯が立てこもり、妻が人質にされた!
妻を無事に救出するため、警察を出し抜き、犯人と交渉を始める夫。そして、事件は誰も予想しなかった展開へ……。

あいたたたた、やっちゃったよ。叙述トリックがメインのミステリを舞踊化するのに、ストーリーで見せてどうするよ? だいたいさぁ、小説を具現化する場合、物語の核となる世界観を押さえておけば、ストーリーなんてどうでもいいのよ(ってのは、いささか極論っすね)。

チラシのコメントによると、上島バージョンは「芝居やショーの魅力がダイナミックに融合した演劇的ダンス」とあるが、“演劇的”ってことを意識し過ぎたのかしらん? 中途半端に主人公のモノローグを挿入したりしているし(しかも、西島千博は決してセリフが巧いとは言えない)。どうせなら、もっと堂々と舞踊による身体表現を徹底すればよかったのに。ってゆうか、それは服部バージョンに任せたのか?

ま、好意的に解釈すれば、両バージョンがお互い補完し合えるよう、上島バージョンは敢えて「わかりやすさ」を第一に考えたのかも知れない。ンが、それにしたって、もうちょっとやり方はあったよな。

う〜む、メインのダンサーが弱い。よかったのは平山素子ぐらいか? むしろ、手下の方が面白かった。特に、森山開次と張縁睿が目を引く。平野亮一はその長い手足が印象に残るも、まだ完全にコントロールはできておらず、いささか持て余しているような。あ、でも、クラシック作品で観てみたいかも。

やはり、この手の作品になると、何でもやっている雑食系ダンサーの強靱さが際立つのか?

【第2幕 −服部バージョン−】

服部有吉
ヨハン・ステグリ
エレン・ブシェー
ゲイレン・ジョンストン

いやいやいやいや、さすがにジョン・ノイマイヤーの元にいるだけあるわ。あくまでも原作の“寓話性”にこだわったアプローチで、小道具(クマのぬいぐるみと双葉)や美術(ストレッチ素材を使用した背景、その裏側でダンサーが動いたりする)の使い方にもセンスが感じられる。

しっかし、小柄な方でしたねぇ、服部有吉。その小さな身体から繰り出される動きのひとつひとつが見事にコントロールされていて、しかも雄弁。ンで、時々、と〜っても幼気な子供のようにも見えたりして、何とも不思議な存在感。

【フィナーレ】

両バージョンのダンサーが勢揃いで踊るフィナーレ。ちょっとゾクゾクきた。
あはっ、思いっきりモタついている西島千博。ぢつは、第1幕が終わった時点では、「ふーん、案外まともじゃん」。ンが、ここでとうとう本領発揮。やるやると思っていたが、ここまでやるか……。いや、もう、ある意味、勇者(笑)。

音楽は宮川彬良による書き下ろし。シンプルで覚えやすい曲。「さすがは宮川先生だわ、この手の曲が書けないとメジャーな仕事はできないってことね」と、客席で苦虫17匹ぐらい噛み潰してみたり。

ピアノ、ヴァイオリン、チェロ、パーカッションという編成はコンパクトだが、それなりに厚みもあってよかった。

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