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2004年9月18日 (土)

十一代目市川海老蔵襲名披露 第四十回記念吉例顔見世 夜の部

2004年9月18日(土) 名古屋御園座

深夜勤務明け。しかも、日帰りスケジュールのため、朝は5:30に起床。それに、ほら、夜の部最初の演目は海老蔵も出ていないし……。ってことで、すみません、《熊谷陣屋》の前半は意識が飛んでおりました。

『一谷嫩軍記 熊谷陣屋』

熊谷次郎直実:中村鴈治郎
妻 相模:中村時蔵
平経盛室藤の方:中村扇雀
堤軍次:中村信二郎
梶原平次景高:片岡亀蔵
白毫弥蛇六 実は 弥平兵衛宗清:片岡我當
源義経:中村富十郎

並木宗輔、浅田一鳥らによる合作。初演は宝暦元年。『平家物語』で知られる平敦盛の最期を題材とした全五段の義太夫狂言で、中でも三段目の《熊谷陣屋》は人気が高く、上演回数も多い。

源氏の武将・熊谷次郎直実が、自分の息子・小次郎と同い年である平家の若武者・無官太夫敦盛の首を討ち取ったことに世の無常を感じて出家を決意する、というのが元々のストーリー。

源義経から「一枝を伐らば一指を剪るべし」と記した制札を与えられ、一谷の合戦に赴く熊谷直実。「皇統を引く平敦盛を助けよ」という義経の意思を悟った直実は、敦盛の身代わりに我が子・小次郎を討ち、首実検に差し出すのだった……。

熊谷直実を鴈治郎が初演、しかも、初代鴈治郎の型で演じる。團十郎型をそれほどハッキリ記憶しているわけではないが、首実検のあたりから幕切れにかけて、結構、変わっていたような。

まず、制札の見得。制札を逆さに構え、平舞台にいる相模や藤の局から敦盛(=小次郎)の首を隠している。「首実検が終わるまでは真相を知られてはならない」という直実の苦渋に満ちた心理がよくわかる。納得。他にも、僧形になった直実が有髪だったり、妻・相模も髪を下ろし、幕外の引っ込みまで付き添ったり……と、随所に工夫が凝らされている。

戦いの悲惨さと無常への諦観、そして何より、夫婦の情愛。それぞれの好演もあって、充実の夜の部幕開け(後半はちゃんと観ました)。

『十一代目市川海老蔵襲名披露 口上』

市川新之助 改め 海老蔵
   ○
中村雀右衛門

療養中の團十郎に代わって、今月も雀右衛門の仕切り。五月の歌舞伎座以来、常に列座。お疲れ様です。海老蔵を中心に、上手に向かって雀右衛門、我當、権十郎、亀治郎、市蔵、扇雀、段四郎、鴈治郎、下手に向かって田之助、友右衛門、松緑、男女蔵、菊之助、信二郎、時蔵、富十郎。後見は右之助。

最初の頃はぐずぐずだった着付も、さすがにスッキリしてきた海老蔵。ンが、そこはかとなく気の抜けたにらみだったような……って、そうですか、こちらの気持ちの問題ですか。

『助六由縁江戸桜』

花川戸助六 実は 曽我五郎:市川新之助 改め 海老蔵
三浦屋揚巻:尾上菊之助
白酒売新兵衛 実は 曽我十郎:尾上松緑
三浦屋女房 お幸:大谷友右衛門
福山かつぎ 富吉:市川男女蔵
奴 奈良平:片岡亀蔵
国侍 利金太:片岡市蔵
通人 里暁:尾上松助
朝顔仙平:市村家橘
三浦屋白玉:市川亀治郎
髭の意休 実は 伊賀平内左衛門:市川段四郎
曽我満江:澤村田之助
くわんぺら門兵衛:中村富十郎
口上:河原崎権十郎

夜の部の襲名披露狂言。六月の歌舞伎座に続いて、再び。前回は花道の“出端”がまったく見えなかったので、今回はそのリベンジ。

いやいやいやいや、堪能させていただきました。さすがに三度目ともなると余計な力みもなく、それはそれは見事な助六。傘を開いた決めの数々が、ホント、美しいわ〜。

全体のバランスも、海老蔵、菊之助、松緑、亀治郎といった若手を、段四郎、田之助、富十郎といったベテランがしっかりと支え、歌舞伎座の時よりもよかったような(そのあたり、前回は三階席で今回は一階席という、こちらの観劇状況の違いによるのかも知れない)。

もちろん、海老蔵に問題がないわけではない。以前から気になっている“今っぽさ”はまだ見受けられるし、セリフ(特に、語尾の処理)については気になる箇所も多い。ただ、そのあたりを差し引いても、ここまで仕上げてきたのは立派。もはや彼以外の助六は考えられない!

揚巻の菊之助、可愛いお人形みたい。つまりは女を感じないわけで。しかも、化粧も口跡も玉三郎にソックリだし。ま、初役だからね。

白玉の亀治郎は地味、ってゆうか、貧乏臭い。二番手に位置する賢さみたいなのはちゃんとあるのに、首は短いし、華はないし。

白酒売の松緑は間の取り方がまだまだ。ンが、それなりにハマっていたような。う〜む、こちらの期待値が低いせい? でも、ああした柔らかい口調だと、舌足らずも気にならないし、結構、向いているのかも。

意休の段四郎が実に立派。門兵衛の富十郎も好演。やはり、この役は歯切れのいい江戸弁でないとね。

それにしても、名古屋の河東節十寸見會御連中はあまりお上手ではありませんなぁ。旦那衆の道楽なんだし、それなりでいいンだけど、それにしても……。

あと、携帯はちゃんと切って下さいまし。>名古屋の方々

御園座も舞台写真の販売あり。ンが、海老蔵の写真はまだ出ていない(いつものこと?)。筋書もまだ舞台写真入りにはなっていなかった。千穐楽までこのままなのかしらん?

そうそう、名古屋は「筋書」じゃ通じないのね。「プログラム」じゃないとダメなのね。劇場係員に「筋書はどこで売っていますか?」と、尋ねたら、「筋書??? プログラムのことですか?」と、聞き返されてしまったよ。トホホ。

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