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2004年12月26日 (日)

新国立劇場バレエ団『くるみ割り人形』

2004年12月26日(日) 新国立劇場 オペラ劇場

[振付]マリウス・プティパ、レフ・イワーノフ
[作曲]ピョートル・チャイコフスキー
[台本]マリウス・プティパ(E.T.A.ホフマンの童話による)
[改訂振付]ワシリー・ワイノーネン
[指揮]渡邊一正 [管弦楽]東京フィルハーモニー交響楽団
[児童合唱]東京少年少女合唱隊

たまには「マーシャに女性の踊りをすべて踊らせる」ワイノーネン版でも観るか……ってことで、新国立劇場バレエ団の『くるみ割り人形』。クリスマスの翌日ということもあって、客席には空席もちらほら。そして、気がつけば今年もまた初台が舞台納めだわ。

マーシャ:さいとう美帆
王子:逸見智彦

ドロッセルマイヤー:ゲンナーディ・イリイン
シュタリバウム:内藤博
シュタリバウム夫人:湯川麻美子
フランツ:大和雅美
道化:グレゴリー・バリノフ
人形:高橋有里
黒人:江本拓

ねずみの王様:市川透
くるみ割り人形:伊藤隆仁
歩兵隊長:キミホ・ハルバート
雪の精:遠藤睦子、西山裕子

スペイン:西川貴子、マイレン・トレウバエフ
東洋:大森結城
中国:遠藤睦子、奥田慎也
トレパック:本島美和、丸尾孝子、市川透
パ・ド・トロワ:西山裕子、大和雅美、グレゴリー・バリノフ
バラのワルツ:湯川麻美子、厚木三杏、川村真樹、寺島ひろみ

【第1幕】

クリスマス・イヴ。雪の舞う中をシュタリバウム家に向かう客人たち。屋敷の中には美しく飾り付けられた大きなクリスマス・ツリー。「なかなか雰囲気があっていいわ〜」と、ひとまず感心した途端……またしてもヅラかよ? ま、金太郎のようなおかっぱ頭(男の子役)までは我慢できるが、クリクリ縦ロール(紳士役)はどうよ? あと、ピンクが基調の衣裳(砂糖菓子をイメージしている?)もかなり違和感あり。あの手の色合いは日本人の肌の色には難しいと思うぞ。舞台美術は豪華で、しかも、ディテールも原作に忠実(ふくろうの時計とか)なのに、残念だわ。

マーシャのさいとう美帆、おっとりとした愛らしさ。変に幼く作り込んでいないのは好印象。ただ、ドロッセルマイヤーと踊るシーンは、もう少し子供らしさがあってもよかったかも。
フランツの大和雅美、腕白ぶりがお見事! ちなみに、女性ダンサーが男の子を演じるのはいいンだけど(溌剌としてキュート)、女の子を演じるのはちょっと無理があるような。過剰なぶりっ子が若干名おりました。

人形の高橋有里、人形振りもダメだが、それ以上に見た目がイタい。薹が立ったフランス人形、下手なコスプレ、ショーパブのおかま……(すみません、ファンの方)。とにかく、金髪ヅラとピンクの衣裳がまったく似合っていないのよ。
道化のグレゴリー・バリノフもイマイチ人形ではなかったが、可愛いので許す。

ドロッセルマイヤーのゲンナーディ・イリインは、その容貌も手伝って雰囲気はいい。原作と違って毒気は薄いが、家族連れが多い客席にはちょうどいいかも。

ところで、お客たちが帰った後、フランツとマーシャ兄妹の他にもうひとり女の子が残っていたような。フランツと腕を組んで捌けていったが、あれは誰? もしかして、シュタリバウム家は三人兄妹なのか?

【第2幕】

冒頭、ナイトウェア姿のマーシャがくるみ割り人形を抱いてベッドに入る。ちょっとロリータ入っている?

ねずみと兵隊の戦いは、なんつーか、あまりの迫力のなさが却って微笑ましいわ〜。しかも、後ろで応援しているさいとう美帆が、これまた大丈夫なのか? ってぐらい、おっとりしているし。手を振ってエールを送ったり、ねずみに向かってクッションを投げたりするのも、何だかメチャメチャ段取りっぽい。おっとりした風情は彼女の持ち味だと思うが、もう少し演技をしてもいいような。

う〜む、 初っ端からいきなり滑る王子の逸見智彦。でも、2幕のくすんだブルーの衣裳はシックでいいわ。先日の牧阿佐美バレヱ団の公演で気になった前髪の乱れ。なんと、今日は短くしてパーマをかけている! もしかして、本人も気にしていたのかしらん? 短髪好きのワタクシ的には、全然OKっす。ってゆうか、オールバックにして老け込まれたり、中途半端に長い髪がパサッと前に垂れてくるよりは、思い切って短くした方が潔いと思われ(ま、あまり短いのは王子らしくないかも知れないが……)。

髪型はさておき、今回のさいとう美帆&逸見智彦ペアは、まったくと言っていいほど噛み合っていなかった。音の取り方もバラバラだし、サポートも不安定(特に、リフトはすんごく重たそう)。普段は感心するほど笑顔を絶やさない逸見王子も、さすがに表情が固かったぞ。

忘れちゃいけない、雪の精。ソリストの遠藤睦子と西山裕子はもちろん、コール・ドも整然としていて美しかった(あ、足音はちょっと大きかったかな)。ンが、帽子(ヅラ?)と腕のボンボンは如何なものか?

【第3幕】

マーシャと王子は小舟に乗ってお菓子の国にやって来る。オレンジの河やレモネードの河、蜂蜜の河に薔薇のエッセンスの河などが印象的に描かれる原作を考えても、ここはやはり小舟で正解。

ンが、それに続くコウモリに襲われるシーンが……。マーシャ、置いてきぼり? コウモリを追い払いつつ、マーシャも気遣ってあげなゃダメでしょう。>逸見王子

何はともあれ、輝きに満ちた姿を取り戻したお菓子の国では、マーシャをもてなすため、各国の踊りが披露される。

スペインは西川貴子とマイレン・トレウバエフ。ふたりともテクニックはあるのに、どうもイマイチ。スペインらしい突き抜けた明るさが感じられない。特に、トレウバエフ。彼、メチャメチャ生真面目そうなのよね。

東洋の大森結城、切れ長の目がエキゾチック。でも、衣裳がなぁ。もっと露出しようよ。そうそう、ちゃんと左右に楽士がいるのには驚いた。たぶん、下手がウード(アラブ古典音楽で用いられる代表的な撥弦楽器)で、上手がタール(アラブの枠太鼓、ハンドドラムと言った方がわかりやすいか?)だと思うが、微妙に形状が違うような。

中国の遠藤睦子と奥田慎也は、やや軽快感に欠けたかな。
トレパックの本島美和、丸尾孝子、市川透が好演。

パ・ド・トロワは西山裕子、大和雅美、グレゴリー・バリノフ。この際、ヅラには目を瞑るとして、バリノフのアントルシャは本当に柔らかくて素敵。今日もまた癒された〜。
バラのワルツもヅラには目を瞑るとして(こればっか)、女性ソリスト4人(湯川麻美子、厚木三杏、川村真樹、寺島ひろみ)がと〜っても美しくて、思わず見愡れてしまいましたわ。

グラン・パ・ド・ドゥは、う〜む、ほとんど印象に残っていないぞ。本来なら、王子の他に4人の男性にかしずかれ、究極の夢のような、それはそれは幸せな瞬間の筈なのに、さいとう美帆からはそうした幸福感がまったく伝わってこない。後半、かなりバテ気味だったので(途中、ふらついたりしていた)、もしかしたらコンディション悪かったのかも。

逸見王子は、マネージュでの空間の使い方が巧かったわ〜。

【エピローグ】

ナイトウェア姿のマーシャ再び。目を覚まし、枕元の人形を抱き上げる。
大人のダンサーが演じる以上、この短いシーンで少女の成長を観客にわからせなければ意味がない。ンが、さいとう美帆は、そのあたりも平板。とにかく、全般的に演技が薄い。最初こそ好印象だったが、物語が進むにつれて、いささか物足りなく感じてしまった。

そうそう、オケが珍しくよかったのよ。2幕には合唱もあったし。Good Job!

終演後、ホワイエに何やら人だかり。ネズミがお子ちゃまたちと記念撮影していたような。さすが、クリスマスの風物詩とも言われる『くるみ割り人形』ね。でも、こうして幼い子供たちが舞台芸術に触れる機会は本当に大切だと思う。だから、多少、隣に落ち着きのない子供が座っても、その子供が泣きそうになるぐらいヒステリックに親が叱っても、見なかったことにしよう。>ぢぶん

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