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2005年1月 7日 (金)

コレーラ&マーフィー with 牧阿佐美バレヱ団《ニューイヤー特別ガラ》

2005年1月7日(金) 東京文化会館

[指揮]渡邊一正 [管弦楽]東京フィルハーモニー交響楽団

2005年最初のバレエ。まずは、ガラ公演から。バランシンのアブストラクト・バレエで始まり、若手からベテランまで取り揃えたパ・ド・ドゥ、そして、最後は『ドン・キホーテ』ハイライトで幕。あっさりした品揃えのような気もするが、新年初っ端はこのぐらいが適当かも。

『セレナーデ』
[振付]ジョージ・バランシン [音楽]ピョートル・I・チャイコフスキー

草刈民代、田中祐子、笠井裕子
森田健太郎、逸見智彦

前回観た時は、音の出から幕は開いていて、整然と並んだ17人のダンサーの右手がゆるゆると上がっていくところから始まったように記憶しているが、今回は音先行。幕が開いた時には、ダンサーはすでに右手を前に掲げている。本家を観ていないので、どちらが正しいのかわかりません。

草刈民代の存在感と田中祐子の安定感は相変わらず。前回、とても印象に残った高山優のパートを笠井祐子が踊る。終始、安定していたとは言い難いが、華やかで大きな踊りは、やはり目を惹く。

コール・ドも動きがよりクリアになっていて、とても美しかった。ただ、今回も表情の作り方が下手な人が若干名。具体的な物語がないぶん難しいのかも知れないが、とりあえず、必死な形相だけはやめてくれ。萎える。

橘るみの軽快感と男性陣の意外な健闘が光る。

『チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ』
[振付]ジョージ・バランシン [音楽]ピョートル・I・チャイコフスキー

佐藤朱実、菊地研

前回、ボロボロだった菊地研。パートナーを変えて、再び、バランシンに挑む。

アダージオは音楽が少し遅かったのか、ふたりともイマイチ乗り切れないまま終わってしまったような。特に、佐藤朱実が踊り難そうだった。非常に音楽性の高いダンサーなので、最初から巧く噛み合っていたら……と、ちょっと残念。あるいは、こちらが過度に期待し過ぎていたのかも。

菊地研はヴァリアシオンがよかった。跳躍も回転も格段に進歩していたし、前回のような重さも感じさせず、最後まで若々しい勢いに溢れていた。ま、これでようやくスタートラインについた、って感じか? あと、些細なことだけど、髪の色を黒に戻していたのはgood。

しっかし、この男性の衣裳はどうにかならないものか? 上着の丈が中途半端で、脚が短く見える。そのうえ、菊地研の太腿がやけに逞しくなっていたものだから、プロポーションがすんごく微妙。

『ル・コンバ』よりパ・ド・ドゥ
[振付]ウィリアム・ダラー [音楽]ラファエロ・デ・バンフィールド

吉岡まな美、逸見智彦

なんつーか、直喩な振付。作品解説によると、「十字軍に加わった騎士タンクレディと恋人のサラセン人クロリンダは、武装しているために相手の素性に気づかないまま戦い、クロリンダは死ぬ」とある。そんまんま。

ふたりとも兜と鎧を身につけ、片手に剣を持ち、手綱を握り、細かい跳躍で馬を表現。子供の“騎馬ごっこ”を思い浮かべてくださいな。脚のラインが美しいふたりだから何とか観ていられたが、かなり退屈な作品。

逸見智彦って、ここ最近、一段と巧くなったような。まだまだ若造には負けられない、ってか?

『アルルの女』よりパ・ド・ドゥ
[振付]ローラン・プティ [音楽]ジョルジュ・ビゼー

草刈民代、イルギス・ガリムーリン

どすこい。

イルギス・ガリムーリンを目にした瞬間、そう思ってしまったものだから、最後まで物語に入れないまま終わってしまった……。愛に壊れる男。本来なら直球ど真ン中、思いっきりツボなんだけどなぁ。

そもそも若者の物語に見えないし、草刈民代もファム・ファタルっぽいというか、“一途に男を愛し、自分の方を振り向いてくれることをひたする懇願する若い娘”ではなく“誘惑する女”に見えてしまった。ま、美人だからね。最後のガリムーリンのソロ(ファランドール)も、こちらの心をかき乱すような迫力に欠ける。

それにしても、この頃(70年代の作品だったかしらん?)のプティはいいわ。音楽も印象的だし。

『ライモンダ』よりパ・ド・ドゥ
[振付]マリウス・プティパ [改訂振付]アンナ=マリー・ホームズ
[音楽]アレクサンドル・グラズノフ

ジリアン・マーフィー、アンヘル・コレーラ

とりあえず、妙にオバサン入った髪型はやめよう。>アンヘル・コレーラ

コレーラは大人になったね。以前のような粗っぽさがなくなり、踊りがとても丁寧になった。ただ、このパ・ド・ドゥに関して言えば、少し前にすんばらしいダンサーで全幕を観ているので……(以下自粛)。

『ドン・キホーテ』第3幕ハイライト
[振付]マリウス・プティパ、アレクサンドル・ゴールスキー
[改訂振付]アザーリ・M・プリセツスキー、ワレンティーナ・サーヴィナ
[音楽]レオン・ミンクス

キトリ:ジリアン・マーフィー
バジル:アンヘル・コレーラ
キトリの友人:田中祐子、青山季可
町の女たち:佐藤朱実、橋本尚美、笠井裕子、伊藤友季子
ボレロ:坂西麻美、相羽源氏

ステージに30人以上のダンサーがひしめき合っていると、それだけで壮観。さらに、ゲストのふたりは観客が何を期待しているか十二分にわかっていて、なんつーか、回って回って跳んで回って跳んで跳んで回って……みたいな。「へ? 今の何?」と、一瞬、我が目を疑う、ってゆうか、あまりの凄さに笑っちゃったよ。

ま、バレエもエンターテインメントである以上、お客さん喜ばせてなんぼなわけで。いや、あのプロ根性はお見事(でも、『白鳥の湖』でこれやられたら、ちょっとイヤかも)。

登場から、牧阿佐美バレヱ団の男性陣がやけに颯爽としている。う〜む、ゲストの存在が刺激になったのか? それとも、小嶋直也先生の指導の賜物なのか? ま、体型は相変わらずな人もいたが(苦笑)、とりあえず、よかったよかった。

ってことで、何故かゲスト以上に牧阿佐美バレヱ団の男性陣が印象に残ったガラ公演。

オケはよくコントロールされていて、いつも(堤俊作とロイヤルメトロポリタン管弦楽団)より格段によかった(って、これは比べちゃ悪いわね)。ただ、作品によってはちょっと遅く感じる時もあったかな。

カーテンコール。ゲストのふたりが上手と下手に分かれ、牧阿佐美バレヱ団のダンサーたちに対して感謝の意を表した時、すかさず田中祐子と相羽源氏が拍手を返していたのがとても印象的だった。「ベテランなんだから当然」と、言われてしまえばそれまでだが、やはりステージマナーは大事だな、と。

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