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2005年6月11日 (土)

佐々木蔵之介&佐藤隆太 二人芝居『時には父のない子のように』

2005年6月11日(土) 三鷹市芸術文化センター 星のホール

[作・演出]蓬莱竜太(モダンスイマーズ)

三鷹市芸術文化センターからの誘いを受け、佐々木蔵之介が立ち上げた演劇ユニット《Team申》の旗揚げ公演。ユニット名は「チーム」だが、メンバーは公演毎に佐々木が編成するらしい。最初の相手に選んだのは、同じ事務所の後輩・佐藤隆太。そして、作・演出には劇団モダンスイマーズの蓬莱竜太を迎える。『五十嵐伝 〜五十嵐ハ燃エテイルカ〜』('04/モダンスイマーズ公演)に感銘を受けた佐々木のご指名だそうな。

原圭一郎:佐々木蔵之介
原圭吾:佐藤隆太

キャパ250人。狭っ! こんな狭い空間、本当に久しぶりだ。「座席が反転して床下に収まることで、多様な舞台形式の演出も可能」らしいが、その分、作りは甘いというか、通路を観客が行き来する度に振動が伝わる。客入れの音楽はトム・ウェイツ。渋い。芝居の内容も渋いのかしらん?

大阪は梅田、高級マンションの屋上。赤と黄色のケース(缶ジュースなどを入れておくプラスティックのケース)をステージに見立て、“一人漫才”のネタを繰り返し練習している喪服姿の男・原圭一郎。人気芸人だった父の跡を継いだものの一向に芽は出ず、この日も父の法事そっちのけで、明日のテレビ収録に備えて練習している。そこへひょっこり現れたのが、5年前に家を飛び出し、父の葬儀にも戻らなかった弟の圭吾。5年の空白を埋めるかのように、ぽつぽつと話し始める兄弟だったが……。

佐々木蔵之介扮する原圭一郎の“一人漫才”から始まる。それもコテコテの関西弁。これがまた、寒くて笑えないンだ。才能ない芸人だからそれでいいのかも知れないが、父は本当にこのネタで売れていたのか? だって、ほとんど80年代のセンスだぞ。まず、その時点でズレを感じてしまい、結局、最後まで物語に入っていけず。トホホ。

父の名に恥じない芸人になろうと、すべてを犠牲にしてきた圭一郎。ンが、当の父は、弟の圭吾に才能を見い出し、「お前が“一人漫才”の跡を継げ」と、ネタ帳を手渡す。しかも、そんな父に嫌気がさして家出した息子に、なおもネタ帳を送り続ける父。ふたりの会話から、そんなエゴイスティックな芸人像が浮かび上がってくるわけだが、兄の衝撃も弟の怒りも何だか弱い。ちまちましている。演技が、ということではなく、脚本の書き込みの問題だと思われ。特に、圭一郎はそれまでの人生を全否定されたわけだから、もっともっと傷つき足掻きもがく姿を見せてもよかったンじゃ? 最後に圭一郎の恋人を出してくるのも(実際に役者が出てくるわけではないが)蛇足。

確かに、親子の絆や兄弟の心の機微、あるいは、才能のない者の絶望や選ばれたる者の苛立ちなど、それなりに伝わるものはあった。ンが、作・演出の手腕はどうにも拙い。これで本当に「現在、最も注目を集める若手作家」なのか? 蓬莱竜太もモダンスイマーズも全然知らなかったが、今まで知らなくて損した、とか、残念だった、とか、悔しい、とか、これっぽっちも感じなかったよ。う〜む、この人の芝居のどこに佐々木は惹かれたのかしらん?(ま、自分のホームグラウンドである劇団ではまた違うのかも知れないが……)

繊細な演技と大胆な壊れっぷりが魅力の佐々木。いつもながら直球勝負が清々しい佐藤。ふたりの相性の良さは充分感じられたし、何より“役者が立ち上げたプロデュース形式の演劇ユニット”としては期待しているので、遠からず第2弾を実現していただきたい。

しっかし、ホールのサイトで紹介されていたSTORYは何だったンでしょう?(笑)

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