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2007年7月17日 (火)

NODA・MAP 番外公演『THE BEE』

◆London Version
2007年7月12日(木)〜7月29日(日) シアタートラム
http://www.nodamap.com/

[原作]筒井康隆【「毟りあい」(新潮社刊)より】
[共同脚本]野田秀樹&コリン・ティーバン [演出]野田秀樹
[美術・衣装]ミリアム・ブーター [照明]リック・フィッシャー
[音響]ポール・アルディッティ

井戸:キャサリン・ハンター
小古呂の妻、リポーター:野田秀樹
安直、小古呂、小古呂の息子、リポーター:グリン・プリチャード
百百山警部、シェフ、リポーター:トニー・ベル

やっぱLondon Version(以下、L版)が完成形なのね〜。Japanese Version(以下、J版)にはどこか違和感──「悪くはないけど、他のやり方もありそう」みたいな──がつきまとっていたのに、L版にはそうした曖昧さは欠片もなく、すべてがクリアで齟齬がない。

例えば冒頭。井戸が放り込まれる狂躁を役者の身体だけで表現していくJ版も巧いけど、長いゴムを使ったL版を観た後では、「別の小道具を使ってもこれ以上のものは不可能だから、あっち(J版)は身体だけにしたのか……」と思ってしまうわけで。
他にも、キャスティング(L版は男女入れ替え/J版は元通り)、美術(ハーフミラー/紙)、蜂の見せ方(羽音/羽音と映像)などなど、どれもL版の方がすんなり納得できる。J版の演出がL版を否定するところから始まっているとは思わないけど、なるべく違うやり方をしようとする意識は働いていたような。

内なる暴力性、復讐の連鎖、立場が反転する被害者と加害者、マスコミや警察も含めた世間という名の傍観者たち……。舞台は小説よりややロマンティックな印象。次々に役を入れ替えテンポよく進む前半と台詞を排し儀式的な身体表現で進行していく後半という構成は、小説を踏襲していて(井戸と小古呂の報復合戦を描く最後の数頁は、台詞と改行が極端に減り、文体がかなり変わる)興味深い。

演劇におけるリアルとは何ぞや? リアルに演じることとリアルに見えることは違う。トランスジェンダーの効果とか、抽象表現の豊かさとか、ワタクシ的には、テーマ以上に演劇表現について考えさせられることの多い舞台だった。

あ、そうだ。客入れの音楽は、劇中で使用されていた尾藤イサオ&ドーン『剣の舞』テイストの“おバ歌謡”でございました。

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