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2007年12月 4日 (火)

キエフ・バレエ −タラス・シェフチェンコ記念ウクライナ国立バレエ− 日本公演 2007『ライモンダ』

2007年11月17日(土)〜12月6日(木) Bunkamura オーチャードホール ほか
http://www.koransha.com/

[作曲]アレクサンドル・グラズノフ
[台本]ヴィクトル・ヤメレンコ、ユーリー・スタニシェフスキー(中世騎士伝説及びL. パシコワ、M. プティパの台本に基づく)
[原振付]マリウス・プティパ [振付・演出]ヴィクトル・ヤメレンコ
[音楽監督]ヴォロディミル・コジュハル [舞台美術]アンドレイ・ズロビン
[衣裳]ガンナ・イパチエヴァ
[指揮]ヴォロディミル・コジュハル [管弦楽]ウクライナ国立歌劇場管弦楽団

伯爵令嬢ライモンダ・デ・ドリス:エレーナ・フィリピエワ
騎士ジャン・ド・ブリエンヌ:セルゲイ・シドルスキー
アブデラフマン:イーゴリ・コルプ(ゲスト・ソリスト)
白い貴婦人:田北志のぶ

クレメンス:テチヤナ・ロゾワ
ヘンリエット:オリガ・キフィヤク
ベルナール:菅野英男
ベランジュ:コスチャンチン・ポジャルニツキー

シビル・ド・ドリス伯爵夫人:リュドミーラ・メーリニク
ハンガリー王アンドレ二世:オレガ・トカリ
家司:セルギイ・リトヴィネンコ

だけど飛魚のアーチをくぐって
宝島に着いた頃
あなたのお姫様は
誰かと腰を振ってるわ

強く儚い者たち by Cocco

もちろん、ジャンは宝島に行ったわけじゃありませんし、ライモンダもアブデラフマン相手に▲※◆※▼じゃありませんけど、でも、かなり異国の騎士にメロメロになっていたのは確かで、あのままサラセン国に連れ去られても、それはそれで幸せだったンじゃ? ってゆうか、帰って来なければよかったのに、ジャン……みたいな『ライモンダ』でございました。

ずいぶん前に新国立劇場バレエ団で観た時、この作品は「やりようによっては、かなりスリリングな改訂版もできそう」と思ったンだけど、実際、今回のヤメレンコ版は、普遍的な男女の情念をきっちり描いていて、現代的な印象がとても強い。ンが、それでいて、白の貴婦人が不思議な力──アブデラフマンとの決闘でジャンに力を貸す、とか、アブデラフマンの記憶をライモンダから消し去る、とか──を発揮するお伽話の要素も残しているわけで、そのあたりの折り合いのつけ方には一考の余地あり、ってな気もしないでもないけど、かなり面白かったです。はい。

フィリピエワはほんっとにいいダンサーですね。さすがに今日はお疲れモードかな? と思ったけど、終わってみれば満足満足。特に、2幕の結婚式は素晴らしかった〜。優雅で音楽的で神々しいまでの輝きを放つ姿に物凄く興奮した!
シドルスキーはサポートこそ不安定だったけど、なかなか魅力的な騎士ぶり。でも、どこか頼りなさげな雰囲気もあって、「いい人なんだけどねぇ、白の貴婦人の力添えがなければライモンダとは結婚できなかっただろうねぇ」と思わせてしまうあたりがご愛嬌。

さてさて、お目当てのコルプですが、アイラインがバリバリ入った特濃メイクに、最初は「誰?! これ誰?!」状態。やがて、お口が半開きだからコルプだな、と(笑)。オスのフェロモンだだ漏れなんだけど、無駄に柔らかいから、なんつーか、しなやかな獣というか、もっと言えば、女豹というか、とにかく何者なんだかよくわからないアブデラフマン。どこから来たのかもよくわからん。サラセンってどこですか? みたいなところから始めたい気分。
ライモンダを見詰める視線はじっとりねっとり情熱的で、ほとんど彼女から逸らさない。客席なんか一瞥もしない、その徹底ぶりはさすがです。それでいて舞台マナーは完璧だし、踊りは他の誰よりも巧いし、ライモンダが心惹かれるのも当然だわ。
いや〜、こちらの予想を軽く飛び越えてくるね、キミは。

最期も壮絶。ジャンに刺され、バタッと倒れるアブデラフマン。抱え起こそうとする側近たちの手を振り払い、ライモンダのもとへヨロヨロと、でも、一心不乱に突き進み、凍りつく彼女の眼前で愛を訴えながら息絶える。
ダメだよ〜。あんな姿を見せられたら、何事もなかったようにジャンと結婚できるわけないじゃん。
こうなったら、ヤメレンコに「ライモンダはアブデラフマンとサラセン国で幸せに暮らしました」ヴァージョンを作っていただきましょう……って、それはもう『ライモンダ』じゃないですから(笑)。

その他、印象に残ったことを簡単に。
田北志のぶのこの世のものではない存在感が忘れ難く、友人たちを踊ったロゾワ、キフィヤク、菅野、ポジャルニツキーも好演。特に、ロゾワとキフィヤクのふたりは、『白鳥』と『くるみ』も含めて、要所要所で舞台を締めていた。
オーケストラは今日が一番よかったかな(除く、ピアノ)。

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