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2008年1月11日 (金)

レニングラード国立バレエ −ムソルグスキー記念/ミハイロフスキー劇場−『バヤデルカ』

2007年12月23日(日)〜2008年1月26日(土) 東京文化会館 ほか
http://www.koransha.com/

ニキヤ:オクサーナ・シェスタコワ
ガムザッティ:オリガ・ステパノワ
奴隷:ドミトリー・シャドルーヒン
黄金の偶像:アントン・プローム
◇幻影の場
ヴァリエーション:エレーナ・エフセーエワ、タチアナ・ミリツェワ、エレーナ・コチュビラ
昨日と違うキャストのみ

 
初春にコルプを観られる幸せ。

いや〜、昨日と打って変わって物凄くよかった! メチャメチャ感情を喚起された! 気がつくと、苦悩したり逡巡したりするコルプの姿に嗜虐的な喜びを感じている(笑)。とにかく、こんなに心揺さぶられた『バヤデルカ』は初めてだわ。結構、シャマニスティックな芸風なのかも、彼。

ニキヤのシェスタコワも、愛らしくて、清潔感があって、権高過ぎず、非常に好感を持ちました。彼女は主役に相応しいテクニックや華はあるものの、身体能力やプロポーションが飛び抜けているわけではなく、ある意味、無難というか、中庸というか。ただ、役柄に対する解釈とそれを具現化するスキルに優れているので、役作りにこだわる(たぶん)コルプにとっては、いいパートナーのような。

2幕、ニキヤの死には泣けました〜。
昨日は
ソロルが背を向ける→ニキヤが瓶を捨てる→その音でソロルが振り返る→ニキヤが息絶える→ソロルが駆け寄る→幕
という流れだったのが、
今日は
一旦背を向けたソロルが振り返る→見つめ合うニキヤとソロル→ニキヤが瓶を捨てる→ソロルが駆け寄る→一瞬早くニキヤが崩れ落ちる→幕
という流れになっていて、どうにもならない運命が、より一層、鮮やかに浮かび上がった。特に、“見つめ合うニキヤとソロル”が堪らん。あの瞬間のふたりの交感。愛しているけど、どうにもならない。お互いが現実を悟る(というか、お互いの中に現実を見出す?)、その苛烈さ、その残酷さ。直前の、可愛らしい顔に哀しみを湛えて踊っていたシェスタコワの姿も、物語の悲劇性を際立たせる。

幕切れに見せたコルプの跳躍も忘れ難い。高さがあって、しかも、振り上げた後ろ脚が信じられないぐらい撓っていて、すんごく軽やかでありながら、同時に肉体の重さも感じさせるジュテ・アントルラセ(かな?)。それを何度も繰り返すことで、峻烈な覚悟が劇場を覆い尽くし、こちらの胸は今にも張り裂けんばかり(あのシーンをエンドレスで脳内リプレイ中)。

ステパノワは確信犯的ガムザッティ。藩主の娘であることに絶対の自信を抱いていて、ソロルとの結婚も当然のこととして受け止め、ニキヤを殺すことにもまったく迷いがない。また、そうしたキャラクターが輪郭のはっきりした彼女の踊りにぴったりなの。
婚約式でのグラン・パ・ド・ドゥは、ふたり一緒に跳躍する冒頭から小気味いいぐらいに揃っていて、それだけで華やかな気分になる。ンが、そんな時でも、コルプはそこはかとない憂いを漂わせてみたり。ってゆうか、2幕は全員が細かい演技をしているので、できる限り全体を見渡したいのに、結局、彼ばかりに目がいってしまう(笑)。

その他、気になったことを簡単に。
婚約式でソロルがつけていた2連のパールネックレス。あれ、昨日はなかったような。あと、1幕2場で藩主と大僧正が密談する背後をソロルが一目散に駆け抜けて行ったのも、昨日はなかったような。上階から観ていたから、気がつかなかったのかしらん?
《影の王国》のアダージオ、去っていくニキヤをアラベスクで見送るコルプの姿に、一瞬、ルジマトフが重なる。ほんっとに一瞬だけど。

数年前は婚約式の列席者だったシェミウノフが大僧正にキャスティングされていてビックリ! 演技が少々大仰だし、貫禄についてもまだまだだけど、195cmの長身と長い腕を活かして健闘しておりました。
太鼓の踊りとインドの踊りは何度観ても血が騒ぐ〜。

幻影たちは昨日に比べるとかなり安定していたかな。とは言え、以前のレベルには程遠く、これからビシビシ鍛えて下さいまし。>ルジマトフ芸術監督
ってことで、カーテンコールの芸監お迎えはコルプでした。麗しき師弟愛(いや、ま、別に師弟じゃないけど)。幕前で主催者から贈られた花束を客席に投げ込むコルプ。キエフ・バレエに続き、またですか? ぢつは、昨日もやって失敗していた。今日は無事成功。

それにしても、『バヤデルカ』という作品は、ダンサーの解釈においても、観客の受け取り方においても、曖昧な部分が多く自由度が高いというか……とにかく懐が深いな、と。だからこそ面白いンだけどね。

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