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2008年5月20日 (火)

シアターコクーン・オンレパートリー2008『わが魂は輝く水なり −源平北越流誌−』

2008年5月4日(日)〜27日(火) Bunkamura シアターコクーン
http://www.bunkamura.co.jp/

[作]清水邦夫 [演出]蜷川幸雄 [美術]中越司
[照明]大島祐夫 [衣裳]小峰リリー [音響・選曲]友部秋一

斎藤実盛:野村萬斎
斎藤五郎(亡霊):尾上菊之助
斎藤六郎:坂東亀三郎
藤原権頭:津嘉山正種
郎党時丸:川岡大次郎
巴:秋山菜津子
ふぶき:邑野みあ
中原兼光:廣田高志
中原兼平:大石継太
郎党 黒玄坊:大富士
平維盛:長谷川博己
乳母 浜風:神保共子
城貞康:二反田雅澄

祇園精舎の鐘の声 諸行無常の響き有り
沙羅双樹の花の色 盛者必衰の理を顕す

静かに流れる『平家物語』の語り。
やがて、夜の森にひっそりと浮かび上がる人影。斎藤五郎の亡霊……。

本作は清水邦夫が1980年に劇団民藝に書き下ろした戯曲で、一見すると、源平合戦に題材を取った歴史劇のよう。ンが、あくまでも清水の主眼は狂気に陥った集団の崩壊を描くことにあり、木曾義仲軍は連合赤軍、義仲に代わって集団を率いる巴は永田洋子の、それぞれ隠喩となっている。
さらに、義仲軍が崩壊していく過程を遠巻きに見ている斎藤実盛を登場させることで、アングラ演劇と新劇の関係を彷彿させたりもして、いやはや、相変わらず欲張りというか、奥深いというか。

ただ、ワタクシ的には、集団が崩壊していく物語としてなら、シアターコクーン・オンレパートリー2005『幻に心もそぞろ狂おしのわれら将門』の方がずっと濃密だったと思うし、ある時代における演劇界の総括としてなら、シアターコクーン・オンレパートリー2006『タンゴ・冬の終わりに』の方が完成度が高かったと思うわけで、正直、中途半端な印象は否めず。

それはたぶん、出演者が若いことが一番の要因ではないかと。
野村萬斎の老け役は見事だったけど、その評価は身体や声のコントロールといったスキルに対してであり、「眩しいほど輝きにみちた若者たち」に「嫉妬の念を燃やした」と語る実盛の「にがい」思いは最後まで伝わらず。
また、尾上菊之助にしても、清水の硬質で美しいセリフにかなり苦戦している様子が見受けられた。

そもそも、連合赤軍や“アングラ演劇 vs 新劇”の構図が遠い昔の出来事になってしまった今、彼ら自身がどこまで咀嚼できていたのだろうか?
結局、舞台に充満していたのは蜷川のノスタルジーだけ、って気がしないでもない。

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