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2008年7月 8日 (火)

『かもめ』

2008年6月20日(金)〜7月12日(土) 赤坂ACTシアター
http://hpot.jp/kamome/

[作]アントン・チェーホフ [演出]栗山民也
[翻訳]沼野充義 [美術]島次郎 [照明]勝柴次朗
[音響]山本浩一 [衣裳]前田文子 [ヘアメイク]鎌田直樹

トレープレフ:藤原竜也
トリゴーリン:鹿賀丈史

ニーナ:美波
マーシャ:小島聖
ドルン:中嶋しゅう
シャムラーエフ:藤木孝
ポリーナ:藤田弓子
メドベジェンコ:たかお鷹
ソーリン:勝部演之

ヤーコフ:野口俊丞
小間使い:二木咲子
料理人:茶花健太

アルカージナ:麻実れい

こまつ座&シス・カンパニー『ロマンス』(チェーホフの生涯をモティーフにした井上ひさしの音楽劇、演出は本作と同じ栗山民也)が面白かったので、ずーっとチェーホフ劇が観たかったのよ。

ってことで、「わたしは──かもめ。いいえ、そうじゃない。わたしは──女優」で有名な『かもめ』を観る。
19世紀ロシアの田舎屋敷を舞台に、芸術の革新を夢見る作家志望の青年トレープレフ、女優志望の田舎娘ニーナ、トレープレフの母親で地位も名声も手に入れた大女優アルカージナ、その恋人の流行作家トリゴーリンらが、自らの行動の意味も計りかね右往左往する群像劇でございます。

新時代の予感。取り残される人々。激しい無力感。そこでは、誰もが皆、誰かを愛し、でも、その愛が報われることはなく、互いの想いはただすれ違うばかり。
冷やかな視点と深い洞察から生まれた言葉たち。それらが描き出す状況は、悲劇的なのに、その実、どこか可笑しくもあり。
チェーホフが本作を「喜劇」と称したことが、何となくわかったような。

細い身体に強かさを滲ませ、大事なのは“忍耐”だと語るニーナの美波、わがままで自分勝手だけど、どこか憎めないアルカージナの麻実れい、作者の芸術観を代弁した長台詞が実に見事なトリゴーリンの鹿賀丈史など、役者は適材適所。
ただひとり、トレープレフの藤原竜也だけは役に没頭し過ぎ、ってゆうか、ほとんど放し飼い状態で、如何なものかと。このままじゃダメだって、誰か言ってやらないと。
それはそうと、小島聖はプロポーションいいっすね〜。

沼野充義による新訳は、わかりやすい反面、時に違和感を覚えたり(流行語を取り入れたりしているからかしらん?)。
島次郎による虚無的な美術が、当時のロシアの不穏な空気を感じさせて秀逸。

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