歌舞伎座百二十年 八月納涼大歌舞伎 第三部
2008年8月9日(土)~27日(水) 歌舞伎座
http://www.kabuki-bito.jp/
チケットWeb松竹を覗いたら、たまたま「空席あり」だったので、条件反射でポチッとな(笑)。何はともあれ、野田秀樹作・演出による新作歌舞伎『野田版 愛陀姫』を観ることができてよかったわ。
『紅葉狩』
更科姫 実は 戸隠山の鬼女:中村勘太郎
山神:坂東巳之助
従者 右源太:市川高麗蔵
同 左源太:片岡亀蔵
侍女 野菊:中村鶴松
腰元 岩橋:片岡市蔵
局 田毎:市村家橘
余吾将軍 平維茂:中村橋之助
誰かさんと違って(笑)、勘太郎の踊りは端正だわ〜。色気はやや足りないものの、まだ若いし、今後に期待ということで。
維茂の橋之助は最初から喧嘩腰で、清新さに欠ける。
山神の巳之助は、身体も声もコントロールできていない印象。もう少ししたら、落ち着くかしらん?
『野田版 愛陀姫』
[作・演出]野田秀樹 [美術]堀尾幸男 [照明]勝柴次朗
[衣裳]ひびのこづえ [振付]藤間勘十郎 [音楽・作調]田中傳左衛門
[補曲]今藤長龍郎、田中傳次郎 [音響]内藤博司
[映像]奥秀太郎 [立師]渥美博 [狂言作者]竹柴徳太朗
斎藤道三の娘 濃姫:中村勘三郎
織田信秀の娘 愛陀姫:中村七之助
道三の武将 木村駄目助左衛門:中村橋之助
侍 鈴木主水之助:中村勘太郎
同 高橋:尾上松也
道三の武将 多々木斬蔵:片岡亀蔵
城主 斎藤道三:坂東彌十郎
祈祷師 荏原:中村扇雀
同 細毛:中村福助
織田信秀:坂東三津五郎
野田秀樹作・演出による新作歌舞伎。2001年『野田版 研辰の討たれ』、2003年『野田版 鼠小僧』に続く第3弾は、ジュゼッペ・ヴェルディ作曲のオペラ『アイーダ』を歌舞伎に翻案した『野田版 愛陀姫』。
本作を「オペラそのまま」と捉えるか、「日本の戦国時代に巧く移し替えた」と捉えるかで、評価は分かれるかも。
ワタクシ的には、怪しげな祈祷師・荏原と細毛を通して見えてくる言葉の力の恐ろしさ──嘘が真実にすり替わっていく、人々の心に巧みにつけ込んでいく──や、ここ最近の野田のテーマでもある“復讐の連鎖”といった、原作にはないアレンジを楽しんだと同時に、勘三郎を再発見した作品でもあった。
勘三郎の何が苦手って、常に観客の反応を伺っているような、あの迎合的な芸風。ンが、さすがに今回はそのあたりを封印し、愛によって壊れていく濃姫の姿を鮮やかに浮かび上がらせた。終盤、濃姫が駄目助左衛門を説得する場面では、思わず泣いてしまいましたよ。いや〜、勘三郎の演技に泣かされる日が来るなんて……不覚。
それだけに、美濃と尾張、両国への呪詛の言葉を吐いて引っ込んでいく濃姫には、花道を使って欲しかった。う〜む、どうして野田は花道を使わないンだろう? あと、浄瑠璃もないンだよね。オペラの曲を邦楽器に編曲するのもいいけど、濃姫、愛陀姫、駄目助左衛門がそれぞれの感情を吐露する場面などは、浄瑠璃を使えばいいのに(ま、そこまでやるには時間が足りなかったのかもね)。
ついでに、濃姫の引っ込みに合わせたグスタフ・マーラーの『交響曲第5番第4楽章 アダージェット』も如何なものかと。ルキノ・ヴィスコンティの映画やモーリス・ベジャールのバレエなど、いろんなものに使われている曲だけに、イメージが出来上がり過ぎていて興醒め。
……と思ったら、三響会blogの傳左衛門日記によると、この人が発案者なのか。しかも、やっぱベジャールのバレエかよ。トホホ。
愛陀姫の七之助が可憐。勘三郎に引けを取らない存在感も立派。
『紅葉狩』とは打って変わって、駄目助左衛門の橋之助が清々しい。
祈祷師ペアの福助と扇雀は、際どいところでコントロールされていて、なかなかいい味を出している。
父親ふたり、道三の彌十郎と信秀の三津五郎が、芝居を締める。
蛇腹になった折り畳み式の装置が秀逸。バルーンの象も、チープな感じが逆にgood!
そう言えば、最後の愛陀姫と駄目助左衛門の魂もバルーンで表現していたけど、意外と野田はロマンティストだからね(笑)。
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