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2009年1月 7日 (水)

レニングラード国立バレエ −ミハイロフスキー劇場−『ジゼル』

2009年1月3日(土)〜30日(金) Bunkamura オーチャードホール ほか
http://www.koransha.com/

[作曲]アドルフ・アダン
[台本]アンリ・ヴェルノワ・ド・サン=ジョルジュ、テオフィル・ゴーチェ、ジャン・コラーリ
[振付]ジャン・コラーリ、ジュール・ペロー、マリウス・プティパ
[改訂演出]ニキータ・ドルグーシン [美術]ヴャチェスラフ・オクネフ
[指揮]カレン・ドゥルガリヤン [管弦楽]レニングラード国立歌劇場管弦楽団

ジゼル:草刈民代(ゲスト・ソリスト)
アルベルト:イーゴリ・コルプ(ゲスト・ソリスト)

ミルタ:ヴィクトリア・クテポワ
森番ハンス:アレクサンドル・オマール
ぺザント・パ・ド・ドゥ:サビーナ・ヤパーロワ、アンドレイ・ヤフニューク
ベルタ(ジゼルの母):アンナ・ノヴォショーロワ
バチルド(アルベルトの婚約者):オリガ・セミョーノワ
公爵:アンドレイ・ブレグバーゼ
アルベルトの従者:ロマン・ぺトゥホフ
ドゥ・ウィリ:ダリア・エリマコワ、ヴァレリア・ジュラヴリョーワ

とりあえず、草刈民代は予想より踊れていたな、と。突然、「あ、脚が……」とか、「あれ? 振付、端折ってる?」とか、現実に引き戻されたりするンだけど、でも、コルプとのパートナーシップは昨年のアナスタシア・コレゴワとの『バヤデルカ』『ドン・キホーテ』よりずっとよかった。

では、1幕から順を追って。
↑にも書いたように、ジゼルの草刈は期待以上の出来。いや、ま、期待がすんごい低かったってのもあるンだけど(笑)。だって、昨夏の《華麗なるクラシックバレエ・ハイライト with 草刈民代》を考えれば、全幕を踊りきれるとはとうてい思えないわけで。

それが、テクニック的には満足いくものではなかったものの、コルプと共にドラマはきちんと作り上げていたのよね〜。登場シーンの瑞々しさ、恋する娘の恥じらい、身体が弱い様子など、どれも自然な流れで見せていたし、狂乱の場のあっさり感も、却ってジゼルの虚ろな心を感じさせて哀れを誘っていた。
ただ、彼女がよくやる眉根を寄せる表情が、少々、老けた印象を与えてしまって、それがちょっと残念だった。

コルプは、実に、実に実にノーブルなアルベルト。従者やハンスに対するちょっとした仕草にも、身分の違いが表れる。ジゼルに対しても、どこか“戯れの恋”という感じで、愛情細やかに接してはいても、常に上から目線、いずれは自分の世界へ戻っていく……そんな無意識の残酷さが漂っていた。
ふたりの踊りはよく合ってました。コルプが合わせたンでしょう、たぶん。

そんなアルベルトにとって、自分の腕の中で死に絶えたジゼルの姿は、あまりにも衝撃が大きかったと思われ。押し止める従者を振り切って(えっと、従者のぺトゥホフはもっとしっかり押し止めるように。でないと、コルプのひとり相撲に見えるぞ)彼女の元へ何度も何度も駆け寄ろうとし、最後は激しい後悔や悲嘆に襲われ、思わずその場を走り去る……。

ハンスのオマールはマイムがすんごく下手。ってゆうか、終始、手持ち無沙汰なんだよね。まだ若いのかしらん?
ある意味、1幕で一番盛り上がったのが、ぺザント・パ・ド・ドゥのヤパーロワとヤフニューク。ふたりとも溌剌と踊っていて、と〜ってもチャーミング! それまでちょっと緊張気味だった客席の空気が、ここで一気に和んだ。

2幕の草刈は、やはりテクニック的には厳しいものがあったけど(跳べないから精霊としての浮遊感はないし、踊りも滑らかじゃないから超自然的な存在を感じさせるまでには至らないし)、足音がしないのと、アルベルトへの愛情に溢れていたのはよかった。

コルプのアルベルトは、なんつーか、ジゼルと共にいられるのなら死も厭わない、むしろ、死を望んでいるかのようなアルベルト。ミルタに踊らされるのも、生前、村人たちの輪の中心で踊っていたジゼルを思い出し、「君は本当に踊りが好きだったよね。あの時のように僕と一緒に踊ってくれるかい?」と語りかけているようで、泣けた泣けた。もちろん、ミルタへの懇願も命乞いじゃなくて、早くジゼルの元に行かせてくれ、って頼んでいるみたい。
それでもジゼルはアルベルトに生きていて欲しくて、結局、彼は生き延びるンだけど、そこにあるのは深い深い絶望だけ……ってのは、私の勝手な思い込みですか、そうですか(笑)。

しっかし、最後はガチで疲れてなかったか?>コルプ
メチャメチャたいへんそうだったものな、リフト。途中、なっかなか出てこない時があって、一瞬、不安を覚えましたですよ。

ミルタのクテポワはウィリの女王としての威厳が希薄。ドゥ・ウィリあたりを踊るなら、まだいいのかな。
ところで、彼女はマリインスキーから移籍したの? 何気に《2009年 日本公演 バレエ団・メンバーリスト》のバレリーナに名前が入っているンですけど……って、マリインスキーのサイトを調べたら、ちゃんと彼女のページがあったわ。

オーケストラはそれなりに。あ、でも、ハープはイマイチだったかも。指揮のドゥルガリヤンは悪くなかったと思います。

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