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2009年4月22日 (水)

エスプリ −ローラン・プティの世界−

2009年4月2日(木)〜24日(金) Bunkamura オーチャードホール ほか
http://www.koransha.com/

せっかく3日間続けて観るンだから、いろんな席を試してみようかと。
ってことで、今日は1階席。しかも段差のない前方センター。意外と寝転がる振付が多く、案の定、ストレスを感じながらの鑑賞と相成りました。だから、オーチャードホールでのバレエ公演はやめれ。

【第1部】

アルルの女 『アルルの女』より
[音楽]ジョルジュ・ビゼー

草刈民代、マッシモ・ムッル

ひたと虚空を見据えるフレデリのムッル。その視線の先に幻の女はいない。いるのは自分。かと言って、ナルシスティックとも違う。ただ自閉しているというか。そういう意味では、確かに草刈民代扮するヴィヴェットを拒絶しているンだけど。
本来なら、愛に壊れる男。でも、ムッルのフレデリを壊せるのは、他者ではなく自己だけなのでは?

オペラグラスがなくても表情が見える席だったので、ヴィヴェットの心の動きはよくわかった。でも、できればそれは身体で表現して欲しいわけで。プティ独特の手脚の使い方とか、カクカクした上半身の動きとか、まったくの別物。

ヴァントゥイユの小楽節 『プルースト 失われた時を求めて』より
[音楽]セザール・フランク

タマラ・ロホ、イーゴリ・コルプ

ロホ&コルプという特濃ペアの割には、思いの外、爽やかな印象。ロホは盤石。コルプはもう少しユーモアが漂うようといいのかな。ちょっとしたニュアンスの付け方だと思うンだけどね〜。

コッペリウスと人形 『コッペリア』より
[音楽]デオ・ドリーブ

ルイジ・ボニーノ

ガラ仕様で、少々、控え目ではあるものの、ボニーノの目的が観客を笑わすことになっているのは否めない。プティのコッペリウスにあったダンディさや威厳が恋しいっす。

タイス パ・ド・ドゥ 『マ・パヴロヴァ』より
[音楽]ジュール・マスネ

タマラ・ロホ、リエンツ・チャン

ほんっとに素敵なパ・ド・ドゥ。華麗なリフトの連続を心ゆくまで堪能いたしました。こうしてただうっとりと眺めていられるのも、チャンの揺るぎないサポートがあってこそ。いやはや、お疲れ様です。

『オットー・ディックス』より 〜切り裂きジャック〜
[音楽]アルバン・ベルク『ルル組曲』より

草刈民代、イーゴリ・コルプ

あー、隔靴掻痒。やっぱ草刈民代に娼婦としてのリアリティが感じられないが致命的のような。
コルプも確かにアブナイ人ではあるンだけど、ファンタジーを抱き、実際に人を殺すことでそれまで抱いていたファンタジーを超え、そのことよってさらに自分のファンタジーを強化して快感や陶酔を味わい、犯行はエスカレートしていく……といった快楽殺人者としてはいささか物足りないような(何、贅沢言ってンだか)。

そんなふうに思うのも、私がその手の物語を、散々、読んだり観たりしてきたから、そんじょそこらの表現では満足できなくなっているのか、あるいは、王子を踊ることでより明確になる彼の“過剰さ”こそを愛しているからなのか。

しっかし、この手の衣裳(シャツとベストとパンツにコートと帽子)を身につけたコルプって、タイツ姿とはまた違った趣があって素敵。

【第2部】

『白鳥の湖』1幕2場より 男性のソロ/パ・ド・ドゥ
[音楽]ピョートル・チャイコフスキー

草刈民代、マッシモ・ムッル

今回は、多少、ふたりの間に感応が見られたような。ムッルに寄り添う草刈民代に、そこはかとない色香も漂っていたし。今の彼女には、こういう静謐な作品の方が合っているのでは?

エスメラルダとカジモドのパ・ド・ドゥ 『ノートルダム・ド・パリ』より
[音楽]モーリス・ジャール

タマラ・ロホ、リエンツ・チャン

例えば、ルシア・ラカッラみたいに脚を上げただけで幸福感に満たされるとまではいかないまでも、愛らしさと妖艶さが溶け合ったロホのエスメラルダもなかなか。強靭なテクニックも印象的。

カジモドのチャンは、前に全幕で観た時より身体が締まっていたかな。愛嬌があって、演技も細やかで、実にチャーミング!

ティティナを探して/小さなバレリーナ 『ダンシング・チャップリン』より
[音楽]レオ・ダニデルフ、チャールズ・チャップリン

ルイジ・ボニーノ

両手にポワントを履いて(?)低い体勢をとるボニーノは、私の席からはほとんど見えませんでした。

ジムノペディ 『マ・パヴロヴァ』より
[音楽]エリック・サティ

草刈民代、リエンツ・チャン

プティを過剰に意識させずに、プティらしさが出せるチャン。さすがです。何気にチャン奮闘公演にも思えるのは、リフト担当だから?

モレルとサン=ルー侯爵 パ・ド・ドゥ 『プルースト 失われた時を求めて』より
[音楽]ガブルエル・フォーレ

マッシモ・ムッル、イーゴリ・コルプ

ムッルは不思議なダンサーですね。彼がサン=ルーを踊ると、いつしかモレルとの複雑な感情の交錯は失われ、サン=ルーとサン=ルーがかくありたいと望む自分とのパ・ド・ドゥに思えてくる。

果たして、ムッルの眼に他者が映ることはあるのだろうか?

チーク・トゥ・チーク
[音楽]アーヴィング・バーリン

草刈民代、ルイジ・ボニーノ

洒脱な雰囲気は出てるンだけど、見事にSwingしてませんね。>民代様
フィナーレで一緒に踊るメンバーでは、ムッルもちょっとダメっぽかった。ってゆうか、妙にやる気なさそう(笑)。
コルプはジャズのリズムも難なくクリア。おまけに、無駄にかっちょええのよ。

それはともかく、観客の手拍子が合わなくてメチャメチャ気持ち悪かったです。

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