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2009年4月17日 (金)

エスプリ −ローラン・プティの世界−

2009年4月2日(木)〜24日(金) 神奈川県民ホール ほか
http://www.koransha.com/

今週末から事務所のミュージシャンが海外ツアーに出るため、それまでにやっておかなければならないことも多く、会場に着いた時には『アルルの女』のファランドールが聴こえておりました。
ま、それを見越して3階席を取っていたわけだし、こちらとしても慣らし運転というか、本番は来週ってことで。

【第1部】

アルルの女 『アルルの女』より
[音楽]ジョルジュ・ビゼー

草刈民代、マッシモ・ムッル

↑に書いたような事情で観られませんでした。

ヴァントゥイユの小楽節 『プルースト 失われた時を求めて』より
[音楽]セザール・フランク

田中祐子、イーゴリ・コルプ

一瞬、コルプの髪型が角刈りに見えてビビる。大工の棟梁? 寿司屋の親方? いや、違うって。

ヴァントゥイユって、確か『失われた時を求めて』に出てくる音楽家よね? スワンとオデットのための曲としてソナタが出てこなかった? いや〜、最近、事前の作品リサーチを怠ってるな……などと、あらぬ方向へ思考が飛ぶ。

田中祐子は確かにプティだったと思うけど、コルプに関しては、やっぱりこの人はマリインスキーのプリンシパルだな、と。それはつまり、プティらしくない、ってことなんだけど。

コッペリウスと人形 『コッペリア』より
[音楽]レオ・ドリーブ

ルイジ・ボニーノ

新国立劇場バレエ団で全幕を観た時から、ボニーノのコッペリウスは受け入れられません。だって、人形に対する愛情がまったく感じられないンだもの。

タイス パ・ド・ドゥ 『マ・パヴロヴァ』より
[音楽]ジュール・マスネ

田中祐子、リエンツ・チャン

プティの女性崇拝が思いっきり表れている、ほんっとに美しいパ・ド・ドゥですね。どの瞬間を切り取っても、一幅の絵になる感じ。

『オットー・ディックス』より 〜切り裂きジャック〜
[音楽]アルバン・ベルク『ルル組曲』より

草刈民代、イーゴリ・コルプ

正直、大いに物足りなかったです。猟奇殺人とか快楽殺人って、私が一番興味を持っているテーマだから、余計そう感じたのかも知れないけど。
確かに、コルプの踊りには物凄い気迫が感じられたし、ビッグ・ノーウェア(大いなる虚無)を湛えたような青灰色の瞳とか、歪に曲がった指とか、「あ、いいな」と思う瞬間もあった。でもでも、この手の役に絶対的に欠けているものがある。

そう。快楽。そこに快楽はあるのか、快楽は。

とは言っても、何か今日は最後まで舞台に集中できなかったし、こちらの問題という気がしないでもない。

草刈民代の色気は硬質だから、娼婦みたいなセックスと直接結び付く役は向いてないンじゃ? コルプとの絡みなんて、官能性の欠片もなかったぞ。

【第2部】

『白鳥の湖』1幕2場より(日本初演) 男性のソロ/パ・ド・ドゥ
[音楽]ピョートル・チャイコフスキー

草刈民代、マッシモ・ムッル

ムッルは非常に自閉した白鳥。女はその白鳥に献身的な愛情を注ぐが……って、『アルルの女』と同じ構図? 実際、プティの読み直しはどんな物語なのかしらん?

ムッルと踊ると、草刈民代が、その実、あまりプティらしくないということがよくわかる。

エスメラルダとカジモドのパ・ド・ドゥ 『ノートルダム・ド・パリ』より
[音楽]モーリス・ジャール

田中祐子、リエンツ・チャン

こんなに庶民派というか、人懐っこいエスメラルダは初めて。でも、田中祐子はやはり巧い。身体がきちんと語っている。

ティティナを探して/小さなバレリーナ 『ダンシング・チャップリン』より
[音楽]レオ・ダニデルフ、チャールズ・チャップリン

ルイジ・ボニーノ

チャップリンへのオマージュというのはわかるし、ボニーノのコメディアンぶりも見事だけど、そう何度も観たいとは思わないな。

ジムノペディ 『マ・パヴロヴァ』より
[音楽]エリック・サティ

草刈民代、リエンツ・チャン

プティには珍しいアブストラクト・バレエ。黒と白の衣裳がスタイリッシュ。ヘンテコな振付が、意外にもいいアクセントになっている。

モレルとサン=ルー侯爵 パ・ド・ドゥ 『プルースト 失われた時を求めて』より
[音楽]ガブルエル・フォーレ

マッシモ・ムッル、イーゴリ・コルプ

えっと、ムッルがサン=ルー、コルプがモレル、という理解でいいのかな? う〜む、“天使の闘争”というより、ひとりの男の虚像と実像って感じで、倒錯感が薄いっすね。何より、モレルにはもっと放埒であって欲しい。ま、でも、他のダンサーも意外に淡々と踊っていたりするし、そのあたりはプティの意図なのかも。

コルプと並ぶと、ムッルはえらく色白で華奢だわ〜。

チーク・トゥ・チーク
[音楽]アーヴィング・バーリン

草刈民代、ルイジ・ボニーノ

草刈民代は顔や仕種で演技するタイプなんだね。これなんか、ほんっとに巧かった。ちょっとした表情の変化で男女の機微を表現したりして。それはボニーノも同じで、ふたりの絶妙な掛け合いで、実に小粋な作品に仕上がっておりました。

一旦終わると、すぐにまた音楽が流れ、出演者全員でフィナーレに。それがあまりにもグダグダで、ある意味、今日一番のツボ(笑)。一応、段取りは決まっていても、音楽が音楽だから、アドリブに対応できないと辛いわけで。中でも、コルプの所在なげな様子にウケまくり。

さらに、途中で「これ、バンド入れたら面白いかも」なんて思っちゃったものだから、編成やらメンバーやらマヂで考え始めたりして、「ヴォーカルもあった方がいいよな」とか、ひとり勝手に暴走する始末。

こんなんで、来週の三連荘を乗り切れるンだろうか?>ぢぶん

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