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2010年5月27日 (木)

五月花形歌舞伎 夜の部

2010年5月4日(火)〜28日(金) 新橋演舞場
http://www.kabuki-bito.jp/

新橋演舞場は小奇麗でいけないさね。もっと雑然としてないと歌舞伎を観に来た気がしない。売店もさぁ、よくわからない洋服や鞄を売ってないと(笑)。

『一谷嫩軍記 熊谷陣屋』

熊谷次郎直実:市川染五郎
源義経:市川海老蔵
熊谷妻 相模:中村七之助
梶原平次景高:松本錦吾
堤軍次:坂東亀三郎
平経盛室 藤の方:尾上松也
白毫弥陀六 実は 弥平兵衛宗清:中村歌六

時に父を、時に叔父を、彷彿とさせる染五郎の熊谷。声が掠れるのと線が細いのが、やっぱ染五郎だな、と。ただ、花形ばかりなので却って全体のバランスが取れて、思いの外、面白く観られた。首実検で、首を差し出す染五郎とそれを検分する海老蔵の、気合いのぶつかり合い、とでもいうのだろうか、ふたりの役者の拮抗する様が何とも新鮮。

義経の海老蔵が登場すると、舞台が一際明るくなる。後半の「爺よ、満足満足〜」でさらに明朗になるあたりも、華やかでいい。

相模の七之助はまだ型に終始している感じ。
松也は、昼の部の園生の前といい、この藤の方といい、気品を必要とする役に果敢に挑戦している。

『うかれ坊主』

願人坊主 源八:尾上松緑

軽妙洒脱な雰囲気がまったく感じられず、恐ろしくつまらないンですけど……?

『助六由縁江戸桜』三浦屋格子先より水入りまで

花川戸助六 実は 曽我五郎:市川海老蔵
三浦屋 揚巻:中村福助
白酒売新兵衛 実は 曽我十郎:市川染五郎
くわんぺら門兵衛:尾上松緑
三浦屋 白玉:中村七之助
通人 里暁:市川猿弥
文使い番新 白菊:中村歌江
国侍利金太:片岡市蔵
遣手 お辰:市川右之助
朝顔仙平:坂東亀寿
福山かつぎ 亀吉:坂東亀三郎
三浦屋女房 お京:大谷友右衛門
髭の意休 実は 伊賀平内左衛門:中村歌六
曽我満江:片岡秀太郎

口上:市川左團次

海老蔵の“出端”、その美しさ、その色っぽさ。

「この人以外の助六は観たくないっ!」

そう宣言したくなるほどの魅力が、彼の“出端”には確かにある。

今までは、その後が酷かった。本舞台に来てからのセリフに妙な癖があるうえ、海老蔵自身が持つ今っぽさが随所に顔を覗かせ、どう受け止めればいいのかわからないところがあった。
ンが、今回はセリフの妙な癖は直っているし、声だって無駄に高くなってないし、何より、一番気になっていた今っぽさが薄れている! それでいて、ちゃんと現代の観客とコミットしている実感はあって、いやいやいやいや、驚くべき進歩だわ〜。
あるいはこれも、同世代で舞台を作り上げたことによる効果なのかも。

揚巻の福助、花道の花魁道中から“悪態の初音”あたりまでは、例によってやり過ぎなところがあったものの、満江の見送りに現れてからの後半は、悪目立ちすることもなく、なかなか立派な揚巻でございました。

白酒売の染五郎は上方和事の経験が生きたのか、初役とは思えない出来。
白玉の七之助が美しく、福山かつぎの亀三郎が小気味よい。満江の秀太郎がさすがの貫禄。
意外に物足りなかったのが、意休の歌六。もっと得体の知れない大きさが欲しいかも。

二十二年ぶりに“水入り”を上演。滅多に上演されない理由がわかりました。本水を使っている割には、全然、迫力ないンだもの。

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