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2010年6月19日 (土)

シス・カンパニー公演『アット・ホーム・アット・ザ・ズー』

2010年6月17日(木)〜7月19日(月・祝) シアタートラム
http://www.siscompany.com/

[作]エドワード・オルビー [演出]千葉哲也
[翻訳]徐賀世子 [美術]松井るみ [照明]笠原俊幸
[音響]加藤温 [衣装]伊賀大介 [ヘアメイクデザイン]勇見勝彦

【第1幕】ホームライフ
ピーター:堤真一
アン:小泉今日子

【第2幕】動物園物語
ピーター:堤真一
ジェリー:大森南朋

1958年に執筆したデビュー作『動物園物語』に、作者エドワード・オルビー自身が半世紀を経て新たな1幕『ホームライフ』を書き下ろし、2幕物戯曲『ピーター&ジェリー』が完成。その後、タイトルを『アット・ホーム・アット・ザ・ズー』へと改題。「アマチュアや学生劇団を除く商業的なカンパニーには、今後、『動物園物語』単独上演は認めない旨の発言」もあるとか。
ってことで、今回が本邦初演。

「この2幕物こそが『動物園物語』の完成された形」というオルビーの見解はわかるけど、こうまできっちり整合性を求めることに意味があるのだろうか? 私なんかは、ジェリーに出会うまでのピーターがどういう人生を歩んできたのか、あーでもないこーでもないと想像することにこそ、この芝居の醍醐味があると思うわけで。
結局、オルビーは観客の想像力に委ねるよりも、解答を提示することを選んだのかな。

今の暮らしに満足している中年男ピーター。妻アンとの会話がきっかけで、これまで何の疑問も抱いていなかった自分の世界に微妙なズレが生じ、その後に向かったセントラル・パークで見知らぬ男ジェリーに話しかけられ……。
2幕通して観ると、やはり堤真一の巧さが際立つ。どちらも受け身の演技なんだけど、舞台の居方が実に的確。まさに、ピーターとしてそこにいる。

アンの小泉今日子。家族を愛していて、でも、どこか満たされなくて、「ほんの少しの狂気」を求めてしまう女性像を造型しようとしているのはわかるンだけど、台詞回しも身体の使い方も修練されていない。なんつーか、ここはこう喋る、ここはこう動く、といった演技プランが透けて見える感じ。
ただ、かつてのアイドルが小劇場サイズにすっぽり収まっていることには、毎回、感嘆いたしますです。はい。

ジェリーの大森南朋。まずは、あの長台詞をよく覚えたな、と。いや、プロだし、当たり前か(笑)。
すんごくsensitiveなジェリー。寄る辺ない子供のような。それはたぶん、大森の持ち味によるところが大きいと思われ。他者との距離が巧く取れない、ある意味、どこにでもいる青年。それ故、人と繋がることができるなら刺し殺されても構わない、という他者を巻き添えにする自己崩壊が、より一層、リアルに感じられた。

休憩なしで、リビングルームからセントラル・パークへ。その転換がお見事。ただ、どちらも夜に思えるンだよね〜。

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