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2011年5月 7日 (土)

新国立劇場バレエ団『デヴィッド・ビントレーのアラジン』

2011年5月2日(月)〜8日(日) 新国立劇場 オペラ劇場(オペラパレス)
http://www.nntt.jac.go.jp/

[演出・振付]デヴィッド・ビントレー [作曲]カール・デイヴィス
[装置]ディック・バード [衣裳]スー・ブレイン [照明]マーク・ジョナサン
[指揮]ポール・マーフィー [管弦楽]東京フィルハーモニー交響楽団

アラジン:福岡雄大
プリンセス:さいとう美帆

魔術師マグリブ人:冨川祐樹
ランプの精ジーン:福田圭吾
アラジンの母:楠元郁子
サルタン(プリンセスの父):イルギス・ガリムーリン

オニキスとパール:石山沙央理、五月女遥、盆子原美奈、グリゴリー・バリノフ、江本拓、アンダーシュ・ハンマル
ゴールドとシルバー:西川貴子、丸尾孝子、貝川鐵男、小笠原一真
サファイア:米沢唯
ルビー:西山裕子、菅野英男
エメラルド:堀口純、細田千晶、芳賀望
ダイアモンド:川村真樹

席の関係か、初演の時より楽しめました。各幕ともスペクタクルに溢れていて、しかも、それぞれに違ったダンス的興趣があって、「問題あり」と思った構成も、今日観たら全然OK! 前回は上階の端席だったから、見えてないものが随分あったンだな。やっぱバレエはセンターで観ないとダメね。

アラジンの福岡雄大もプリンセスのさいとう美帆も、本作の主役を踊るにはキャラが薄い気がしないでもないけど、その分、ジーンの福田圭吾が“どや顔”で踊りまくるわ、アラジンの母の楠元郁子とプリンセスの父のイルギス・ガリムーリンが小芝居しまくるわで、全体のバランスは取れていたような。
あと、アラジンの友人のグリゴリー・バリノフと江本拓(たぶん)も、華麗な獅子舞を披露したりして、随所で活躍しておりました。

宝石たちでは、サファイアの米沢唯のそこはかとなく漂う色香、エメラルドの芳賀望の意外なほどのしなやかさ、ダイアモンドの川村真樹のコケティッシュな存在感が、印象に残る。

◆ ミニトーク ◆
新国立劇場の営業部スタッフによる司会で、あらかじめ観客から受け付けていた質問を中心に。例によって、記録ではなく記憶です。

──震災で中止になった『ダイナミック ダンス!』を観たい、という声が多いですが……。
「地震の時はリハーサルの真っ最中で、たいへん恐ろしい経験でした。公演の開催は時期尚早という結論に至りましたが、近い将来、上演する機会があればいいと思っています」
「震災後、1週間ほど日本に滞在し、一旦、帰国。再び日本に戻って来た時には、皆が私を元気に迎えてくれました。今のような状況には『アラジン』みたいなHappyになれる作品が必要だと思います」

──初演と再演で違うところはありますか?
「ほとんど変更はありません。スタッフが素晴らしい仕事をしてくれていたので、私の来日までに準備万端整っていました。ダンサーも、短い時間で自分たちのものにしてくれていました」

──美術がたいへん素敵ですが、どんなところに気を使いましたか?
「お金を捻出することです(笑)。皆さんがご覧になったものは、デザイナーが出してきたデザインの簡略版です。ただ、やり過ぎても逆効果ですので、結果的にはいい出来になりました」

──黒衣や布の使い方が歌舞伎的ですが、実際に歌舞伎をご覧になったことはありますか?
「ロンドンでの歌舞伎公演は必ず観ます。ただ、日本にいる時は働かなければいけませんので(笑)、まだ1回しか観ていません」

──獅子舞や龍といった中国の物が出てくるのは何故ですか?
「原作は中国が舞台です。音楽もそれを前提に作曲されています。ただし、日本ではディズニー映画の影響で、アラビアが舞台と思われています。そこで、バレエは両方を折衷して制作しました。アラジンは中国からアラビアにやって来た移民の子供なのです(笑)」

──11/12シーズンのオープニング作品『パコダの王子』は新国立劇場と英国バーミンガム・ロイヤルバレエ団との共同制作で、1月からリハーサルは始まっています。振付は進んでいますか?
「8分間はできています。1時間42分は残っています(笑)。本作は1950年代にベンジャミン・ブリテンによって作曲されました。音楽はたいへん素晴らしいのですが、大きな成功を収めることはできませんでした」
「歌川國芳の浮世絵からインスピレーションを得た私は、物語を書き直し、作品を再構築しました。日本をテーマにしたファンタジー、言わば、私が語る“日本”です」

──『アラジン』の舞台転換がダイナミックで大好きですが、『パコダの王子』も期待できますか?
「デザイナーのレイ・スミスは、最近、ロンドンやニューヨークで『War Horse』が評判になっています。今回は、衣裳も美術も國芳からインスピレーションを受けています。ちょうどデザインが完成したところで、これから制作に入ります」

──ダンサーをイメージして振付するのですか? それとも、振付後にダンサーを決めるのですか? また、英国のバレエ団との共同制作になりますが、それぞれの踊りに違いがありますか?
「きっと日本の観客の方が作品を理解してくれることでしょう。ロンドンのダンサーは日本人のふりをしなくてはいけませんから(笑)、たいへんだと思いますよ」
「最初の質問ですが、振付のきっかけとなるものは、時に音楽であったり、時にストーリーであったり、作品ごとに違います。ただ、どんな作品でも、ある程度キャラクターやイメージが固まったら、実際にダンサーを前にして振付をしていきます」

──バレエに魅了されたのは何歳で、どの作品でしたか?
「子供の頃、日曜学校で出し物がありました。私は4歳でステージに立ちましたが、本当にステージが大好きな子供でした。その後、姉がバレエ学校に通い始め、何度もステージ立つ姿を目にして、バレエ学校に入れば大好きなステージに立てると考え、すぐに入学しました。入ってみたら、300人の女の子に男の子1人、という状況でした。でも、それも悪くはなかったです(笑)」
「そこでは、いろんなダンスを学びました。タップダンス、モダンダンス、そしてもちろん、バレエも。11歳で『くるみ割り人形』を観て、それ以来、バレエ一筋です。幸い両親は音楽家でしたので、私を支え励ましてくれました。ただ、今はもうステージには立ちたくないです(笑)」

──英国でも男の子はマイノリティなんですね?
「ずーっと昔の話です。現在はバレエを習う男の子も増え、たくさんの男性ダンサーが活躍しています」

──小さな子供からの質問ですが、芸術監督として気をつけていることは何ですか?
「一番難しい質問がお子さんからきましたね」
「芸術監督としては、ダンサーに『NO』と言わなければいけないことが一番辛いです。でも、反対に、成果を見せたダンサーに対して『YES』と言えるのはたいへん素晴らしいことです」

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