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2011年7月12日 (火)

バレエの神髄 2011年来日公演

2011年7月12日(火)〜14日(木) 文京シビックホール ほか
http://www.koransha.com/

ルジマトフひとりが突出することなく(もちろん、彼のファンからすれば、思いっきりスペシャル感を醸し出していたことになるンでしょうけど)、バランスのいいガラ公演だったと思われ。
久しぶりのコルプは……やっぱオモロイ奴だった(笑)。明日からのレコーディングを放り出し、大阪と名古屋も行きてー!

【第1部】

『マルキタンカ』よりパ・ド・シス
[音楽]チェーザレ・プーニ [振付]アルテュール・サン=レオン

エレーナ・フィリピエワ、セルギイ・シドルスキー

牧歌的で可愛らしい作品。
フィリピエワもシドルスキーも好調そう。ふとした瞬間に見せるアン・ドゥオールが気持ちよく。
そこそこ人数もいるし、尺もあるし、ガラ公演の初っ端にはうってつけ。

『瀕死の白鳥』
[音楽]カミーユ・サン=サーンス [振付]大島早紀子

白河直子

初《H・アール・カオス》。なるほど。ルジマトフと同じ匂いがする(笑)。要するに、観る者の無意識に働きかけるタイプ。
瓦礫らしきセットを背景に踊っていて、否でも震災を思い出してしまう。先日の野田秀樹の話じゃないけど、あまりに大きな出来事が起こると、その文脈でしか解釈できなくなってしまうわけで。瀕死の白鳥は、我々人類の姿でもあるのかな。

『ライモンダ』第2幕よりアダージョ
[音楽]アレクサンドル・グラズノフ [振付]ユーリー・グリゴローヴィチ

アンナ・アントーニチェワ、ルスラン・スクヴォルツォフ

グリゴローヴィチ版の『ライモンダ』は白いマントがもれなく付いてくる〜。
フィリピエワ&シドルスキー組に比べて、ボリショイ組のふたりはまだ本調子ではないような。それに、アントーニチェワのパートナーにしては、スクヴォルツォフはやや小柄な気がする(ってゆうか、アントーニチェワが大きくなった?)。

『ラ・シルフィード』よりパ・ド・ドゥ
[音楽]ヘルマン・レーヴェンショルド [振付]オーギュスト・ブルノンヴィル

カテリーナ・ハニュコワ、岩田守弘

岩田守弘のジェームズという、何ともレアなものを観られて嬉しかったけど、彼の良さが出ていたかというと、そうでもなく。
ハニュコワの可憐な容姿は、まさにシルフィード。ンが、踊りに軽やかさが感じられず。
もっとふたりに合った演目はなかったのかしらん?

『シャコンヌ』
[音楽]ヨハン・セバスティアン・バッハ [振付]ホセ・リモン
[ヴァイオリン演奏]マリア・ラザレワ

ファルフ・ルジマトフ

今回は連れがミュージシャンだったので、踊りよりもヴァイオリンの演奏で盛り上がる。わざわざ連れてきた割には……ってな印象なんだけど、チーママ(『COLD SLEEP』のあの方ですね)より弾けてるのは容易に想像できました。

ただ、演奏と踊りにインタープレイが感じられないというか、すでにルジマトフの身の内に音楽が存在していて、外部からのそれは必要ないというか、とにかく、自己完結しているように見えて仕様がなかったです。

【第2部】

『バヤデルカ』第2幕よりパ・ダクシオン
[音楽]レオン・ミンクス [振付]マリウス・プティパ

ナタリヤ・マツァーク、セルギイ・シドルスキー

マツァークも本調子ではない? 今までで一番凡庸な出来。見た目ゴージャスだし、押し出しがいいので、『バヤデルカ』も悪くないンだけど、どうせなら『海賊』あたりで観たかったな。
シドルスキーは、ほんっとに端正ですね。しかも、ちゃんとソロルとして演技してるし。いや、お見それしました。

『扉』
[音楽]オーラヴル・アルナルズ [振付]ヴェーラ・アルブーゾワ

イーゴリ・コルプ

ホリゾントに映し出されるモノクロの映像。古い街並。開いては閉ざされていく扉、扉、扉。その映像を背景に、ベージュの短パン姿で踊るコルプ。彼の身体に投影された映像が時にタトゥーにも見えて、ちょっとだけ面白いと思ったり。ちょっとだけだけど。

しっかし、コルプが「日本で披露したい」作品って、どうしていつも珍妙なんでしょう?(笑)

『白鳥の湖』より黒鳥のグラン・パ・ド・ドゥ
[音楽]ピョートル・チャイコフスキー [振付]マリウス・プティパ

アンナ・アントーニチェワ、ルスラン・スクヴォルツォフ

アントーニチェワは身体が重そうで、音に乗り切れていない感じ。スクヴォルツォフもヴァリアシオンの決めポーズで手をついたりして、イマイチ盛り上がりに欠ける。
ボリショイらしい圧倒的な踊りを期待していただけに、物足りなさは否めず。

『ボレロ』
[音楽]モーリス・ラベル [振付]ニコライ・アンドロソフ

ファルフ・ルジマトフ

「日本における大震災への思いをこめて(中略)創られた作品」だそうな。ルジマトフのシャーマニスティックな資質と相俟って、危惧していたほど悪くなかった(何しろ、あまりにも偉大な先行作品が存在してますから)。

それにしても、皆さん、ラベルの『ボレロ』、お好きですね。

【第3部】

『カルメン組曲』
[音楽]ジョルジュ・ビゼー/ロディオン・シチェドリン
[台本]アルベルト・アロンソ(プロスペル・メリメ『カルメン』より)
[原振付]アルベルト・アロンソ
[改訂演出]アザリー・プリセツキー、アレクサンドル・プリセツキー
[美術]ボリス・メッセレル

カルメン:エレーナ・フィリピエワ
ホセ:ファルフ・ルジマトフ
エスカミーリョ:イーゴリ・コルプ

スニガ:セルギイ・シドルスキー
運命:田北志のぶ
タバコ工場の女たち:マリア・トカレンコ、ヴィクトリア・メジャック

フィリピエワはジプシーじゃないし、ルジマトフは衛兵じゃないし、コルプは闘牛士じゃない。でも、面白かった。堪能した。

一番興味深かったのは、闘牛場を模した装置ですかね。上から見下ろすコール・ドがいることで、オペラや映画ではなかったことにされてきた〈私=メリメ〉の視点を意識させられました。いや、ま、作り手が意図していたのかは不明だけど。

そして、一番笑ったのは、コルプのなんちゃって闘牛士ですかね。髪を撫で付け、腰をねっとりとくねらせている姿を目にした途端、思わず吹き出しちゃいました。ってゆうか、登場シーンで塀の向こうに頭がひょこひょこ覗いている段階で笑っちゃっいました。キミ、面白過ぎ。いや、ま、そこが好きなンだけど。

ってことで、今年最初で最後(たぶん)のコルプはあっという間に終了。大阪と名古屋を観られなかったのが、返す返すも残念でございます。

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