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2012年10月13日 (土)

新国立劇場『リチャード三世』

2012年10月3日(水)〜21日(日) 新国立劇場 中劇場
http://www.nntt.jac.go.jp/

[作]ウィリアム・シェイクスピア [翻訳]小田島雄志 [演出]鵜山仁
[美術]島次郎 [照明]服部基 [音響]上田好生 [衣裳]前田文子
[ヘアメイク]馮啓孝 [アクション]渥美博 [映像製作]鈴木大介

グロスター公リチャード のちに リチャード三世:岡本健一
マーガレット:中嶋朋子
リッチモンド伯ヘンリー:浦井健治

騎士ロバート・ブラッケンベリー、ヨークの大司教、イーリーの司教、神父クリストファー・アースウィック:勝部演之
スタンリー卿:立川三貴
ヨーク公爵夫人:倉野章子
バッキンガム公:木下浩之
エドワード四世:今井朋彦
暗殺者2、騎士リチャード・ラトクリフ:吉村直
市民2、枢機卿トマス・バウチャー、代書人、ウィルトシャーの長官:青木和宣
エリザベス:那須佐代子
市民1、騎士ジェームズ・ティレル:小長谷勝彦
アン:森万紀
リヴァーズ伯:清原達之
ヘースティングズ卿:城全能成
ロンドン市長、オクスフォード伯:関戸将志
市民3、ノーフォーク公:篠原正志
暗殺者1:川辺邦弘
騎士ウィリアム・ケーツビー:松角洋平
騎士ジェームズ・ブラント:津村雅之
クラレンス公ジョージ:前田一世
ドーセット候:浦野真介
使者:梶原航

休憩挟んで3時間40分。一瞬たりとも飽きさせない。何より、リチャード三世だけの芝居になっていないのがいい。ってゆうか、鍛錬された俳優をこれだけ脇に配しているンだから、当然と言えば当然か。先日の演劇講座で演出家が語っていた「集まった人間で最高を求める」という言葉が、えらく納得できる舞台でございました。
ちなみに、2009年の『ヘンリー六世』三部作は未見です。

奥行きあるの舞台を覆い尽くす赤い砂。血を吸い続けた大地は、連綿と続く殺戮の歴史の象徴か……。
ビニールの幕、中央で回る盆、ホリゾントに映し出される映像、途中で降りてくる照明(「劇場に裏切られる」ということね!←これも演劇講座で演出家が語っていた)、あるいは、高さの上下する玉座、王子や王女を表すパペットといった美術全般が面白く、時代を感じさせない衣裳と相俟って、シェイクスピアの歴史劇ということを、格別、意識せず観ていたような。なんつーか、ランカスター、ヨーク両家の争いの物語というより、「自分が選んだ悪夢に忠実たれと」した男の物語というか。う〜む、『リチャード三世』はノワールだったのか(笑)。

岡本健一は、確かに彼でなければできないリチャード三世を造型していたと思われ。口が達者で愛嬌もあるけど、幼稚で浅薄。そして、永遠の夢追い人。彼自身の俳優としての未熟さも(下手とは言わないけど、鍛練が足りないな、と)、周囲とは隔絶した存在という意味で、今回はプラスに働いていたかな。

反対に、俳優としての未熟さがそのままマイナスに働いてしまったのが、リッチモンドの浦井健治。登場シーンの立ち姿ひとつとっても、従者や兵士の方が立派なんだもの。あれでは王国の未来は託せないよなぁ。

圧巻だったのが、マーガレットの中嶋朋子。舞台の居方といい、台詞の説得力といい、ほんっとに見事でした。
その他、バッキンガムの木下浩之とエドワード四世の今井朋彦も、過不足のない演技で印象に残る。

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リチャード三世|公演記録|新国立劇場

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