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2012年11月13日 (火)

世田谷パブリックシアタープロデュース『4 four』

2012年11月5日(月)〜11月25日(日) シアタートラム
http://setagaya-pt.jp/

[作]川村毅 [演出]白井晃
[美術]松井るみ [照明]齋藤茂男 [音響]鹿野英之
[衣裳]高木阿友子 [ヘアメイク]佐藤裕子

F:池田鉄洋
O:田山涼成
U:須賀貴匡
R:高橋一生
男:野間口徹

世田谷パブリックシアターが立ち上げた劇作ワークショップ《劇作家の作業場》第一弾。非公開の発表会や初稿リーディングを経ての上演。

劇場には座席がなく、床に番号が書かれているだけ。自分の番号を探し、そこに木箱と座布団を置いて座るシステム。これからご覧になる方は、楽な服装で行かれた方がいいですよん。
中央に正方形を描くように赤いテープが貼ってあり、一応、そこが舞台と言えば舞台。その周りを取り囲むように観客が座る。出演者も一緒になって座っていたり、観客の間を通り抜けたりするので、芝居を観ているというより、何らかの集会に参加している気分。

初稿リーディングの時から漠然と思っていた“被害者遺族の集会で演劇療法を行なっている”という設定(たぶん)。チケットと交換する通し番号付入場引換券の裏には「未決囚」「刑務官」「法務大臣」「裁判員」と書かれていて、私の場合は「裁判員」に赤丸がついてあったので、その立場で参加してね、と理解して観ていたものの、だんだんそれも曖昧に……。登場人物の台詞じゃないけど、ホント、ぐるぐるします。

とりあえず、思考の種を、またひとつ蒔かれたな、と。
そして、相変わらず世田谷パブリックシアターは攻めてるな、とも。

川村によって綴られた美しいモノローグに溺れる瞬間もあったりして、時間が許せば、もう一回観たいほど(マリインスキー・バレエの来日公演があるから、時間的にも金銭的にも無理だけど)。

◆ ポストトーク ◆
参加者は出演者5人と演出家の白井晃。司会は公演プログラムの編集者。木箱と座布団で2時間強を過ごした後につき、所々、記憶が飛んでます。

──本作は《劇作家の作業場》という企画で、モノローグにこだわり、書く→リーディング→書く……の試行錯誤を重ねた非常に特異な作品です。どういったところから作業を始められたのでしょうか?
白井「ご覧いただいておわかりのように、役者に負荷のかかるモノローグが多いので、ダイアローグの稽古とは別に、モノローグの稽古を、それこそ学校の時間割のように組んでやりました。最後に登場する野間口さんの稽古を早目にやったことで、朧げに見えてきたものはありました」

──始まる前のお客様とのやり取りを野間口さんに任せたのはどういう経緯から?
白井「最初は全員で……とも思ったンですけど、野間口さんで始まり野間口さんで終わる、という円環のような感じもいいかな、と」

──稽古終盤では関係者を観客として入れたりして、普段とは変わった稽古でご苦労も多かったと思いますが、何か突破口のようなものがありましたら、ぜひお聞かせ下さい。
須賀「個人稽古は、今、振り返ってみても頭が痛くなる感じでした」
田山「自虐癖がついてしまい、家に帰っても妻との会話がなくなりました。その頃からどんどん台詞が入ってくるようになって、今はとても楽しいです。(客席を見回して)こんなに残ってくれると思ってなくて……どうして残ってくれたンですか?(と、近くの女性客にインタビュー)」
池田「自分は見た目で覚えていくタイプなので、相手がいない今回は、それができなくて困りました。でも、だんだん芝居が固まるにつれて、客席にいる共演者の表情に安心したり。頼もしい仲間だと、今は思ってます。いろんなお客さんがいるので、本番中も鍛えられます」
高橋「突破口とかはないです。やってるうちに何となく。突破しようという気もないので、苦労もないです……というのは嘘です(笑)。そういうことはあまり語るものではないと思うので。ダイアローグの稽古になると、他の人もいるので安心できました」
野間口「4人の前で苦労なんて言えません。最初は台詞が5行くらいだったンです。改訂しても4ページくらい。だから、苦労はしていません。自分はお客さんと一緒にいて、お客さんのナビができればいいな、と」

──登場人物には具体的な名前がありませんし、何の説明もありません。彼らは何者なのでしょうか?
白井「お客さんがどう受け取られたのか、こちらから訊いてみたいです。最後の方の台詞に出てきますが、犯罪被害者の家族です。そういう人たちが違う立場を演じることで、気持ちをぶつけ合っている……というのが共通認識です」

──幕が開いてから、新たな発見はありましたか?
野間口「ないです。稽古で120%やって本番で100%というタイプなので、発見はないです。ま、お客さんと話すと緊張しないというのが、発見と言えば発見かな」
高橋「お客さんが入るということ自体が変化ではないかと。どんな芝居でもお客さんとキャッチボールをしてるけど、今回はいつも以上」
池田「いつもの空間だとお客さんと演者の間にフィルターがあるけど、今回はお客さんの反応がダイレクトに伝わってくる。挑戦的なお客さんに対して自分も挑戦してしまったり、聞こえてくる物音に反応してしまったり。そんなことがある度に、自分を弱いと思ったり、意外と強いと思ったり。これが終わったら、いいことがあるに違いない(笑)」
田山「イケテツ君と同じで、自分もお客さんが気になるタイプ。自分も挑戦したり、物音に反応したりしていた」
須賀「お客さんの反応が物凄くダイレクト。皆さん集中してご覧になっていて、日々、空気が違います」

──お客様を意識した舞台作りの意図は?
白井「まずは、モノローグを成立させるため。あと、いつ何時、自分たちも同じ立場に立たされるかも知れない、ということを意識して」

──白井さんは役者でもありますが、ご自分で演じてみたいと思いますか?
白井「怖いだろうと思いますね。試しにひとつのモノローグを覚えてみたンです」

──誰のモノローグですか?
白井「いや、それは内緒で(笑)。お客さんがいる中であれをやるのは、本当に集中が必要。稽古場の風景と劇場の風景も違うし。脚本的にも演出的にも負荷がかかる作品。でも、自分もちょっとやってみたいですね」

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