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2012年12月26日 (水)

Noism1 & Noism2『solo for 2』『中国の不思議な役人』

2012年12月25日(火)〜26日(水) KAAT神奈川芸術劇場 ホール
http://www.noism.jp/

前から行ってみたいと思っていたKAAT神奈川芸術劇場。たまたまサイトを覗いたらNoismの情報があったので、即座にチケットget。2012年の舞台納めに相応しい、実に、実に実に刺激的な公演でした!

ちなみに、2013年5月31日(金)〜6月2日(日)にKAATで新作を上演するそうです(日程は変更になる場合もあり)。
Noism1次回公演情報 - Noism NEWS

『solo for 2』
|NHKバレエの饗宴 2012|招待上演作品

[演出振付]金森穣 [音楽]ヨハン・セバスティアン・バッハ
[椅子]須長檀 [衣装]山田志麻 [レオタード]金森愛
[照明デザイン]伊藤雅一(株式会社流)、金森穣

第1番 Sarabande:亀井彩加、角田レオナルド仁
第2番 Allemande:井関佐和子、小尻健太
第1番 Corrente:櫛田祥光、藤澤拓也
第2番 Corrente:藤井泉、中川賢
第1番 Allemande:宮河愛一郎、青木枝美/真下恵、宮原由紀夫
第2番 Sarabande:井関佐和子

急勾配の客席は視界を遮るものがなく、ゆったりとダンスに身を任せられる。真っ赤な椅子も印象的。建物に入ってからホール入口までちょっと距離はあるけど、なかなかいい劇場ですね、ここ。

バレエ的なニュアンスを随所に感じる。アフタートークに参加して納得いたしました。なるほど、“Noism Ballet”ですか。
ヴァイオリンの弓と弦、右手と左手、椅子と人間……といった個々の独自性と関係性を意識した振付は、井関のソロ以外すべてパ・ド・ドゥによる構成と相俟って、そのままダンスにおける対位法のようにも思われ、非常に興味深い。

《NHKバレエの饗宴 2012》からの変更点は、最後に無音の中で踊られるパ・ド・ドゥ(井関と誰か……すみません、まだ顔と名前が一致してません)が追加されたことかな。

『中国の不思議な役人』
|サイトウ・キネン・フェスティバル松本 2011|オリジナル作品〈バルトーク・ダブルビル公演〉より

[演出振付]金森穣 [音楽]ベラ・バルトーク
[舞台美術デザイン]田根剛(DORELL. GHOTMEH. TANE / ARCHITECTS)
[衣裳]中嶋佑一(artburt)[照明]伊藤雅一(株式会社流)、金森穣

養子の娼婦(ミミ):井関佐和子
役人形(役人):中川賢
役人形の黒衣:宮原由紀夫
ミミの養父(悪党3):宮河愛一郎
ミミの養祖母(悪党2):藤井泉
ミミの義妹(悪党1):真下恵
金粉の老人(老人の放蕩者):藤澤拓也
虚弱な青年(若い学生):小尻健太
黒衣:Noism1×Noism2

黒衣を創出したことが本作のキモかと。役人を歌舞伎の人形振り(普通は女方、中でも娘役が激しく高揚した場面で用いられる)にしたことで、偽りの生/性を生きる悲哀がこれでもかと浮かび上がった。

閉塞感のある空間に真っ赤なテーブルとシャンデリアだけのシンプルな美術。時に恐ろしく、時に切なく、舞台を彩る照明。古風な中にもポップなテイストを感じさせる摩訶不思議な衣裳。そして何より、多面的で過激かつ不気味な音楽をここまで見事に身体化したダンサーたち。いや〜、堪能いたしました。

今度はぜひオーケストラの演奏で観たみたいっ!

◆ アフタートーク ◆
参加者はNoism芸術監督で演出振付の金森穣とNoism1メンバー。メンバーの着替えが終わるまでは、金森が観客からの質問に答える形で進行。例よって、記録ではなく記憶です。

金森「『solo for 2』は今年の3月に《バレエの饗宴》で上演した作品です。Noismでは“Noism Ballet”というバレエの基礎とそれほどかけ離れていないレッスンをやっていることもあり、地方から東京のバレエ団へのひとつの提示として本作を上演しました。『中国の不思議な役人』については、楽譜に台本が記されているので、どこまでそれを理解したうえで音と身体を関係付けられるか? ということを意識しました。楽譜と真っ向から向き合った創作でした」

──どんなふうに作っていくのですか?
金森「『中国』の場合は、最初に楽譜からオリジナルの台本を書きました。楽譜に台本が記されていても余白はあるので。それを基にメンバーと身体性を探っていきました。『solo』のようなアブストラクトの場合は、物語より曲の構成や成り立ちを考えます。タイトルからもわかるように、相互作用とか他者性や関係性などを意識しました」

ここでメンバー12人登場。

──『中国』は《サイトウ・キネン・フェスティバル》の時と変わっているそうですが、具体的にどこが変わったのでしょうか?
金森「まず、オーケストラがいません。また、あの時は建築家と一緒に舞台を構築したので、物理的にも人的にも予算的にも、かかっているものが違います。ただ、振付そのものはそんなに変えていません」

──Noismのメンバーに必要なものは? あと、ダンサーの食生活を教えて下さい。
金森「明確なコンセプトはありません。オーディションの基準はあるでしょうが……可能性かな。環境を活かせるダンサーがいいです」
Noism1(顔と名前が一致してないので、印象に残った答えのみ)「食生活は至って普通/食べたいものを食べる/三食きっちり/カップラーメン/ケーキ」

──創作の時に大切にしていることは?
金森「創作過程ではいろいろありますが……諦めないこと。これくらいでいいかな? と、魔が差すことがたまにあるので」

──今回はどちらもテープ演奏でしたが、生演奏での上演は考えていますか?
金森「最初は生でした。『solo』に関しては今回も生でやりたかったのですが、ヴァイオリンの渡辺(玲子)さんのスケジュールが合いませんでした」

──音楽の選定はどのようにしているのですか?
金森「聴きあさる。出会うこともある。音楽の選定は難しいですが、決まると進みます。ただ、音楽に従属的であることに疑問も感じます。最近はそのあたりのことをよく考えています」

──金森さんご自身が動いて振付していくのですか?
金森「作品によります。皆に作ってもらうこともあります。自分が動いて作っていく場合は、彼らが動いた時に似合うかどうかを考えます。あと、彼らが容易にできるものではない、一歩先を意識するようにしています」

──創作のうえで、ダンサーの皆さんは演出振付と葛藤はありますか?
Noism1(同じく、印象に残った答えのみ)「自分自身に対する葛藤の方が多い/自分が気持ちいい音の取り方と振付のそれとの違い/客観的な見え方と自分の感じ方との違い/カンパニーに型があり、型を破っても破らなくても、いろいろと言われる/自分の解釈とのずれ/穣さん、これできますか? と訊きたくなる時がある」

──“金森メソッド”とはどういうものですか?
金森「仰向けに寝て、センターを水平にkeepする。脱力しているようで、適度に抑制もしている状態。そこからいろいろな動きへ展開していく。“Noism Ballet”は主に垂直の動きで、それでは補えない動きをやっています」

──皆さんにとって舞踊とは?
金森「短い時間で答えるには難しい質問を(笑)……じゃあ、一言ずつ」
Noism1(端から順番に)「生活/自由になれる、気がする/生きること/生きていくため/本能/好奇心/かけがえのないもの/その時その時で違う、探し続けている/面白いから/今は、生きること/依存性/自分ができること」
金森「新潟! 新潟という場が我々を支えていてくれるからこそ踊ることができる」

新潟県民が羨ましくなる一夜でした。

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