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2013年3月 8日 (金)

牧阿佐美バレヱ団『眠れる森の美女』

2013年3月8日(金)〜10日(日) ゆうぽうとホール
http://ambt.jp/

[演出・振付]テリー・ウエストモーランド(マリウス・プティパによる)
[作曲]ピョートル・I・チャイコフスキー
[脚本]マリウス・プティパ、イワン・フセボロージスキー(シャルル・ペローの原作より)
[美術]ロビン・フレーザー・ペイ
[指揮]アンドレイ・アニハーノフ [管弦楽]東京ニューシティ管弦楽団

オーロラ姫:アナスタシア・コレゴワ(マリインスキー・バレエ ファースト・ソリスト)
フロリモンド王子:イーゴリ・コルプ(マリインスキー・バレエ プリンパル)

リラの精:吉岡まな美
カラボス:保坂アントン慶
フロレスタン24世王:森田健太郎
王妃:坂西麻美

水晶の泉の精(美):茂田絵美子
魅惑の庭の精(強さ):佐藤かんな
森の聖地の精(優雅):三宅理奈
歌い鳥の精(雄弁):中川郁
黄金のぶどうの木の精(活気):久保茉莉恵
カバリエール:塚田渉、逸見智彦、菊地研、今勇也、中家正博、ラグワスレン・オトゴンニャム

フランスの王子:逸見智彦
スペインの王子:菊地研
インドの王子:中家正博
ロシアの王子:ラグワスレン・オトゴンニャム

ギャリソン(王子の副官):坂爪智来
公爵夫人:笠井裕子

金の精:今勇也
銀の精:坂本春香
サファイアの精:坂爪智来
ダイアモンドの精:中川郁
白猫:日高有梨
長靴をはいた猫:ラグワスレン・オトゴンニャム
フロリン王女:青山季可
ブルーバード:清瀧千晴
赤ずきん:安部里奈
狼:塚田渉

夕方から始まった雑誌の取材が予定より長引き、ミュージシャンを置いて帰るわけにもいかず、思いっきり遅刻。プロローグは半分も観られなかった。

牧阿佐美バレヱ団の『眠り』は、プティパの原典版を継承しつつ、独自の時代考証を行ない、なおかつ、イギリスらしいマイムを多用したウエストモーランド版。上演時間は2回の休憩を挟んで3時間強。とにかく、長い。
もともと私はだらだらやる『眠り』が好きだし、この版は見慣れているので全然OKだけど、ゲスト目当ての観客にはキツかったのでは?

事前に告知されていたように、コルプが『眠り』の全幕で王子を踊るのは今回が最後らしい。ここ最近の彼の踊りを観ていると、さもありなん、という気がしないでもない。
あー、でも、結局、私が観た『眠り』は2009年のマリインスキー日本公演と今回の2回だけか。マリインスキーの原典版、観たかったな……。

ってことで、フロリモンド王子(普通はデジレ王子)のコルプは昨年のマリインスキー日本公演よりは好調かと。些か勝手が違うウエストモーランド版でありながら、そんなこと微塵も感じさせない仕上がり。残念だったのは、舞台が狭いこと。もっと伸び伸び踊らせてあげたかったわ〜。

2幕冒頭の登場は、恋に悩む憂愁の王子。孤独感漂うコルプの立ち姿。素敵。腕の動きひとつとっても、気品と同時に意志を感じる。リラの精とのマイムのやり取りも、優美な腕が実に、実に実に雄弁。ゴンドラ(?)に乗って森を進んでいく間、ゆったりと腕を差し延べるだけで、王子の不安や期待といった感情が鮮やかに立ち上る。

城に着いたら着いたで、物珍しそうに周囲を見回してみたり、オーロラ姫を見て、一瞬、たじろいでみたり、まぁ、コルプの演技が細かい細かい。
姫を目覚めさせる方法をリラの精に尋ね、「自分で考えなさい」と言われた王子は、しばし黙考。ウエストモーランド版の王子は、戦う王子ではなく、考える王子。リラとカラボスは善と悪の象徴であると同時に、知恵を働かせる者とそれを阻む者の象徴でもあるのだ。

そしていよいよ、この版の目玉、目覚めのパ・ド・ドゥですよ。オーロラ姫とフロリモンド王子が心を通わせていく過程を、美しく繊細な音楽と共に描いていく、何ともロマンティックなパ・ド・ドゥ。これを踊るコルプの姿を、ワタクシ、一生忘れません。

3幕のグラン・パ・ド・ドゥでは、華やかな容姿のコレゴワと祝祭感溢れる踊りを披露。ヴァリアシオンでは狭い舞台を目一杯使ってマネージュ〜シェネ〜決めポーズまでを流れるように見せてくれました。袖に捌ける前、マエストロ=アニハーノフに会釈していたような。
そうそう、衣裳は自前で原典版ぽかった。紫を基調にしていて、紫好きの私は一目で気に入ったンだけど、世間の評判はイマイチらしい(何で普通に白じゃないンだ、と)。

オーロラ姫のコレゴワは、長身でプロポーション抜群、そのうえ、顔の作りも派手なので、出てきただけで空気が一変する華やかさ。前に観た時より情感も出てきて、たいそう魅力的なオーロラ姫でした。幕によっての演じ分けがもう少し鮮明だと、なおよかったかも。

リラの精の吉岡まな美はマイムが非常にわかりやすい。ただ、踊りの精度は落ちてきているような。
ディヴェルティスマンで客席を沸かせたフロリン王女の青山季可とブルーバードの清瀧千晴。特に、清瀧のどこまでも飛んでいきそうなブルーバードは出色の出来。
その他、相変わらずノーブルなフランスの王子の逸見智彦、豊かな音楽性を感じさせる歌い鳥の精とダイアモンドの精の中川郁、的確な演技で物語を支えたフロレスタン24世王の森田健太郎と王妃の坂西麻美などが、印象に残る。

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