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2013年8月22日 (木)

ディアナ・ヴィシニョーワ──華麗なる世界

◆プログラムB
2013年8月21日(水)〜22日(木) ゆうぽうとホール
http://www.nbs.or.jp/

お付き合いで顔を出さねばならないライヴハウスがあったンだけど、開演前だとコルプを見逃すことになるし、終演後だとライヴ終わってるし、『カルメン』があるから中抜けもできないし……ってことで、電話で済ませてしまった。不義理してごめんよー。

【第1部】

『ドリーブ組曲』
[振付]ジョゼ・マルティネス [音楽]レオ・ドリーブ

メラニー・ユレル、マチアス・エイマン

パリ・オペラ座エトワール養成プログラムとして、マニュエル・ルグリ振付『ドニゼッティ・パ・ド・ドゥ』と双璧。でも、衣裳(アニエス・ルテステュによる)はこちらの方が、ずーっと素敵。

「クラシック・バレエの伝統的なパ・ド・ドゥからなるダイジェスト版」だそうな。最初と最後に出てくる後ろ姿のシルエットは美しいンだけど、空間の使い方が平板なせいか、単調な印象を受ける。

『レダと白鳥』
[振付]ローラン・プティ [音楽]ヨハン・セバスティアン・バッハ

上野水香、イーゴリ・コルプ

コルプを観ることだけに集中していたので、パートナーのことはほとんど気にならなかったわ。

あぁ、彼の腕のなんと優美なこと。一体、いくつ関節あるンですか? って感じで、それはそれは妖しくうねる。そして、それ以上に妖しさを放っていたのが、彼の腰! いや、もう、それ自体が別の生き物のよう。それでいて、全身は恐ろしいまでの神々しさを湛え、一瞬たりとも目が離せない。

パートナーをリフトする際、2回くらいやり直していて、ん? と思ったンだけど、やり直す様があまりにもさり気なく、こういう振付だったかな、と。でも、やっぱり気になったので、家に帰ってマリインスキーの映像で確認してみたら……上げ損なっていたのね。
急拵えのペアでタイミングが合わなかった? それとも、ここ数日の蒸し暑さによる夏バテ? 何れにせよ、コルプにしては珍しい。

カーテンコールでのコルプの佇まい──パートナーを迎える姿勢、客席を見つめる青灰色の瞳、ゆったりと掲げられる腕──が、好きで好きで堪らない。あと、左の肩甲骨あたりにある小さな痣。あれを目にする度に萌えるぅ(笑)。

『タランテラ』
[振付]ジョージ・バランシン [音楽]ルイス・モロー・ゴットシャルク

アシュレイ・ボーダー、ホアキン・デ・ルース

目から鱗が落ちるというか、腑に落ちるというか、今まで観てきた『タランテラ』は何だったのかと。ふたりとも音楽と振付が身体に染み込んでいて、とにかく、すんばらしかった〜。

『精霊の踊り』
[振付]フレデリック・アシュトン [音楽]クリストフ・ヴィリバルト・グルック

デヴィッド・ホールバーグ

美しい小品だけど、それだけ(ホールバーグも私の琴線には1mmたりとも触れないタイプなのよ)。

『真夏の夜の夢』
[振付]ジョン・ノイマイヤー [音楽]フェリックス・メンデルスゾーン

エレーヌ・ブシェ、ティアゴ・ボァディン

全幕は観たことないけど、結婚式(ハーミアとライサンダー? ヘレナとディミートリアス? それとも、ヒポリタとシーシュースかしらん?)の場面だというのはすぐわかる。とにかく、祝祭感に溢れているのだ。

今更だけど、ブシェは爪先がほんっとに美しい。

【第2部】

『カルメン』
[振付]アルベルト・アロンソ [音楽]ジョルジュ・ビゼー、ロディオン・シチェドリン

ディアナ・ヴィシニョーワ、マルセロ・ゴメス、イーゴリ・コルプ
後藤晴雄、奈良春夏、東京バレエ団

一部、カットしての上演。

スポットライトに浮かび上がるヴィシニョーワ。ただそれだけで、男を破滅させる危険な女が、「自由に生まれ、自由に死ぬわ!」と胸を張る、壮絶な美貌と残酷なまでの強靭さを併せ持つジプシー女が、確かに、そこに、いる、という実感。
対するゴメスも、朴訥でありながら、カルメンに「綺麗な男だねぇ、気に入ったよ」と言わせるだけの色気もあり、なかなか魅力的なホセ。

……そう思って観てました。髪を撫で付け、腰をねっとりとくねらせるエロなんちゃって闘牛士(方向性を間違えてませんか?)のコルプが出てくるまでは。

見つめ合う瞳。絡み合う吐息。それまでカルメンとホセの物語と思われていた世界は、少しずつ形を変え、カルメンとエスカミリオのそれへと変貌していく……。
ま、私がコルプ中心に観ているせいなんでしょうけど、ヴィシニョーワとコルプが踊ると、時として観る者の妄想をかき立てることがあるのよね。

確かに、ヴィシニョーワがゴメスに対して全幅の信頼を置いているのも、それに対してゴメスが誠実に応えているのも、よくわかる。ンが、ゴメスとの踊りには、コルプとのような特別な何かは、まだ感じられない(いずれそういう日が訪れる、かも?)。

感心したのが、運命(牛)の奈良春夏。人ではない存在を見事に表現しておりました。
ツニガの後藤晴雄は、ゴメスに比べると身体が貧弱で存在感も薄く、到底、上官には見えない。

幕前のカーテンコール。コルプはまずひとりで、次に奈良&後藤と、ンで、ようやく最後にヴィシニョーワ&ゴメスと登場。今のヴィシニョーワにとってコルプはfirst choiceではないことをまざまざと見せつけられたようで、何かちょっと切なかった。

【第3部】

『眠れる森の美女』より第3幕のパ・ド・ドゥ
[振付]ルドルフ・ヌレエフ、マリウス・プティパ [音楽]ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー

メラニー・ユレル、マチアス・エイマン

う〜む、『眠り』にしては祝祭感が薄い。よく知らないけど、このふたり、あんまり組んで踊ってないのかしらん? そのうえ、衣裳もゴテゴテし過ぎで、却って品がなく見えるし。Aプロのエイマンのソロを除くと、今回、パリ・オペ組は精彩なかったような。

『チーク・トゥ・チーク』
[振付]ローラン・プティ [音楽]アーヴィング・バーリン

上野水香、ルイジ・ボニーノ

3時間半(2回の休憩を含む)という上演時間を考えたら、これはいらなかったかも。当初の予定通りコルプが踊るならともかく、上野とボニーノでプティ作品なんて、ヴィシニョーワのガラには違和感あり過ぎ。
ま、主催者の事情ということで。それに、ボニーノはやり手の営業マンだし。

上野は脚だけプティ。それ以外は……以下自粛。

『ナウ・アンド・ゼン』
[振付]ジョン・ノイマイヤー [音楽]モーリス・ラヴェル

エレーヌ・ブシェ、ティアゴ・ボァディン

ブシェの爪先に見惚れているうちに終わってしまったよ。プロットレスでありながら、何かしらのドラマを感じさせてくれるのが、ハンブルクのハンブルクたる所以か。

しっかし、ボァディンの衣裳(シングレットにレッグウォーマーみたいな)は謎過ぎる。

『パリの炎』
[振付]ワシリー・ワイノーネン [音楽]ボリス・アサフィエフ

アシュレイ・ボーダー、ホアキン・デ・ルース

「かねてより痛めておりました膝の状態が悪化したため」Aプロの出演をひとつキャンセルしたデ・ルース。一体、どの膝が悪化したのよ? と訊きたくなるくらい見事な踊りを披露しておりました。

これはもう、ニューヨーク・シティ・バレエの来日公演に行かねば!

『椿姫』より第3幕のパ・ド・ドゥ
[振付]ジョン・ノイマイヤー [音楽]フレデリック・ショパン
[ピアノ演奏]菊池洋子

ディアナ・ヴィシニョーワ、マルセロ・ゴメス

ヴィシニョーワの身体を通して、マルグリットという役柄が、というより、寧ろノイマイヤーの振付そのものが、解体〜再構築されていく様を目にしているような、そんな不思議な感覚に陥る。その理由を探るには、一度、彼女の『椿姫』全幕を観てみるしかないのかしらん?

Aプロ同様、ゴメス振付によるプロローグとフィナーレあり。人数が増えただけで、大きな変更はなし。衣裳はモノトーンのレッスンウェアっぽいもので揃えていて、たいそうスタイリッシュ。ちなみに、フィナーレのタンゴはピアソラの『鮫 / Escualo』かな。

上野をリフトするのもメチャメチャしんどそうなコルプ。『カルメン』も後半かなりバテてる様子だったので、出演がBプロのみになったのも主催者の事情だけではないのかな、と。

はてさて、次にコルプを観られるのはいつになるのでしょう???

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