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2013年9月14日 (土)

歌舞伎座新開場柿葺落 九月花形歌舞伎 昼の部

2013年9月1日(日)〜25日(水) 歌舞伎座
http://www.kabuki-bito.jp/

「次代の歌舞伎を担う花形が大役に挑む舞台」を生暖かく見守るつもりが、案に相違して、泣かされちまったよ。いやいやいやいや、これだけの大作をよくぞここまで仕上げてきたね〜。

『通し狂言 新薄雪物語』

《花見》
秋月大膳:市川海老蔵
園部左衛門:中村勘九郎
刀鍛冶 団九郎:坂東亀三郎
幸崎息女 薄雪姫:中村梅枝
清水寺住職:市川右之助
来国行:市村家橘
腰元 籬:中村七之助
奴 妻平:片岡愛之助

後の悲劇の発端となる薄雪姫と左衛門の恋。梅枝は期待したほどではなかったものの、勘九郎は柔らかく華やかな左衛門を行儀よく演じて見事。歌舞伎の場合、年相応だからいいってわけじゃなのよね、ホント。

若いふたりの恋を取り持つ籬と妻平。七之助が、思いの外、落ち着いた雰囲気で大健闘。もう少し大人の色気が出ると、なおよいかも。
愛之助は文句なし。スッキリとしたいい奴でした。立ち廻りも派手で見応えあり。中でも、花道の引っ込みが面白かった。ただ、妻平に絡む水奴が小さなミスをちょこちょこやらかしていたのが、ちょっと残念。

大膳の海老蔵が小粒でがっかり。
団九郎の亀三郎、相変わらず声がいいねぇ。

《詮議》
幸崎伊賀守:尾上松緑
葛城民部:市川海老蔵
幸崎息女 薄雪姫:中村梅枝
幸崎奥方 松ヶ枝:上村吉弥
秋月大学:片岡亀蔵
園部左衛門:中村勘九郎
園部兵衛:市川染五郎

伊賀守の松緑、鬘こそロマンスグレーだけど、それほど老年には見えない。目をカッと見開いたまま、瞬きひとつしない様が、ある種の覚悟を感じさせる。
兵衛の染五郎、正直、軽さは否めず。左衛門の勘九郎と並ぶと、親子というより兄弟。それでも、左衛門を叱りつけるところなどは、よくやっていた。

《花見》と打って変わって、葛城民部の海老蔵が爽やかな捌き役を好演。観る前は国崩しの大膳の方がハマると思っていたので、これはかなり意外。ここ最近のように台詞が妙に浮くこともなく、扇子で隠しながら左衛門と薄雪姫の手を握らせる一連の流れも、安心して観ていられた。

花形の中に入ると、松ヶ枝の吉弥がさすがの貫禄。

《広間/合腹》
園部兵衛:市川染五郎
幸崎伊賀守:尾上松緑
園部左衛門:中村勘九郎
腰元 籬:中村七之助
幸崎息女 薄雪姫:中村梅枝
幸崎奥方 松ヶ枝:上村吉弥
刎川兵蔵:中村松江
奴 妻平:片岡愛之助
園部奥方 梅の方:尾上菊之助

梅の方の菊之助、落ち着きといい、情愛といい、実に、実に実に見事な母親ぶり。この幕が見応えあるものになった一番の功績は菊之助だと言っても過言ではない。殊に、“三人笑い”には感心いたしました。「亭主の言うことが聞けないのか。笑え、笑え」と兵衛に言われ、悲しみをこらえて無理に笑おうとする、その必死な姿に思わず落涙。
兵衛の染五郎も、菊之助を受けて最後まできっちり乗り切った。

腹を切って弱っている伊賀守を、それはそれは丁寧に演じる松緑。沓脱ぎ石に上がっては下がり上がっては下がりを繰り返し、ようやく縁先に片足をかけたかと思うと、もう片足の草履は履いたまま……というあたりが、とてもリアルでございました。
また、落ちる前に親の顔を見たさに忍んできた左衛門への一喝にも、劇場を圧するほどの迫力があった。

ってことで、拙いなりに役を精一杯演じる彼らを目にして、歌舞伎の来し方行く末を思い、胸が熱くなった。

『吉原雀』

鳥売りの男:中村勘九郎
鳥売りの女:中村七之助

ここまでかなり集中して観ていたせいか、『吉原雀』は力尽きてしまったよ。ほとんど記憶がございません。トホホ。

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