« 扇田昭彦さん死去 | トップページ | コールプ、コルスンツェフ、イワンチェンコ 追加情報 »

2015年5月24日 (日)

松竹創業百二十周年 團菊祭五月大歌舞伎 昼の部

2014年5月2日(土)〜26日(火) 歌舞伎座
http://www.kabuki-bito.jp/

なんつーか、團菊祭というより菊之助奮闘公演といった趣。ま、團十郎がいないンだから、仕方ないさね。かと言って、海老蔵が團十郎を襲名するまで團菊祭はお預けとなったら、それはそれで寂しいし……。

『摂州合邦辻』

高安奥方 玉手御前:尾上菊之助
高安俊徳丸:中村梅枝
息女 浅香姫:尾上右近
奴 入平:坂東巳之助
合邦道心:中村歌六
合邦女房 おとく:中村東蔵

菊之助、三度目の玉手御前。父に刺されてからの長台詞が、それはそれは見事でございました。そこに至る前半も、これまた非常に理知的な玉手で、俊徳丸への邪恋をあくまでも計略と捉えればすんなり納得できる。ンが、どうやら菊之助自身は「建前はあるにせよ、俊徳丸への思いは真実の恋だった」と思って演じているらしく、何だかよくわからない状況に……。トホホ。
確かに、偽りの恋がいつしか真実の恋に変わるという展開はドラマティックだし、たとえ偽りであっても恋の実感はあった方が観ていて面白いとは思うので、とりあえず今後に期待。

浅香姫の右近はもう少し芝居をしようよ。行儀よくしてるのはわかるけど、あまりにも何もしなさ過ぎ。
合邦の歌六とおとくの東蔵が、情といい、義太夫狂言の味わいといい、さすがの出来。

『通し狂言 天一坊大岡政談』

大岡越前守:尾上菊五郎
池田大助:尾上松緑
山内伊賀亮:市川海老蔵
お三:市村萬次郎
赤川大膳:坂東秀調
平石治右衛門:河原崎権十郎
下男 久助:坂東亀三郎
嫡子 忠右衛門:中村萬太郎
下女 お霜:中村米吉
伊賀亮女房 おさみ:澤村宗之助
吉田三五郎:片岡市蔵
藤井左京:市川右之助
名主 甚右衛門:市村家橘
僧天忠:市川團蔵
天一坊:尾上菊之助
大岡妻 小沢:中村時蔵

講談を脚色した作品で、享保年間にあった天一坊事件を題材にしている。河竹黙阿弥作、奈河彰輔補綴。
とにかく人物描写が薄っぺらで、法澤(天一坊)が悪事に手を染める瞬間の心の動きや、法澤の素性を知ったうえで一味に加わる伊賀亮の心情など、どれも曖昧で説得力に欠ける。遣り様によってはかなり面白くなりそうな話なだけに勿体ない。

「本作の大きなみどころ」と言われている網代問答は、海老蔵の餅をついたような口跡によって、いつしか意識が飛んでおりました。すみません。
それにしても、この伊賀亮、大した活躍もせずフェードアウトしちゃうのにはビックリだ。

天一坊は初役の菊之助。将軍の御落胤らしい気品があり、それが一転、ふてぶてしい悪党に急変する様が鮮やか。
お三の萬次郎が物語の発端となる老婆を好演。

|

« 扇田昭彦さん死去 | トップページ | コールプ、コルスンツェフ、イワンチェンコ 追加情報 »

2015年鑑賞記録」カテゴリの記事