« マリインスキー・バレエ 2015年日本公演『愛の伝説』 | トップページ | ウラジーミル・シクリャローフは『ロミオとジュリエット』を降板 »

2015年11月28日 (土)

マリインスキー・バレエ 2015年日本公演『愛の伝説』

2015年11月26日(木)〜12月6日(日) 東京文化会館 ほか
http://www.japanarts.co.jp/

シリン(王女):マリーヤ・シリンキナ
フェルハド(宮廷画家):ウラジーミル・シクリャローフ → 怪我により3幕途中からアンドレイ・エルマコフ
メフメネ・バヌー(女王、シリンの姉):ヴィクトリア・テリョーシキナ
宰相:コンスタンチン・ズヴェレフ
黄金の踊り:ナデージダ・ゴンチャール
道化:ヤロスラフ・バイボルディン
27日と違うキャストのみ

主要キャストのバランスも、オーケストラの演奏も、今日の方がよかった。ンが、3幕3場でシクリャローフが怪我。山に集まった人々に囲まれてフェルハドが踊り始めた途端、すぐに袖に捌けていき、そのまま戻らず。本来ならシリンとメフメネ・バヌーと3人で踊る場面も女性ふたりだけでやり過ごし、最後の最後、水路の完成とシリンのどちらを選ぶか決断を迫られる場面ですっぴんのエルマコフが登場。シクリャローフが引っ込んでからエルマコフが出てくるまで、たぶん10分かそこらですよ。まさに、The show must go on!

メフメネ・バヌーのテリョーシキナは、長く強靭な手脚、繊細なライン、磐石なテクニックと、この役を踊るに相応しい要素をすべて兼ね備えており、それらを駆使して孤高の女王の矛盾に満ちた複雑な心情──妹への愛と嫉妬、自己犠牲と後悔、報われない愛と絶望、閉塞感などなど──を描いていく。しかも、そこには生身の女としての実感も伴っている。驚嘆。

女王と同じく、報われない愛に苦しむ宰相にズヴェレフ。どことなく神経質そうに見えるので、メフメネ・バヌーがシリンのために美貌を失えば、他の男性は彼女に寄り付かず、自分がいつまでも傍らにいられると考えてそうな気がしないでもない。
2幕の追跡場面、コール・ドを従えて踊りまくる姿はキレッキレでございました。ただ、ちょっと軽いンだよね〜。あと少し威厳というか、重みが出てくると、なおよろし。

シリンのシリンキナは昨日のクリスティーナ・シャプランより踊り込んでいるのか、振付がちゃんと身体に馴染んでいて、説得力は抜群でした。シクリャローフとユニゾンで踊る箇所もすべてにおいてタイミングがピタリと合い、それがそのままシリンとフェルハドの愛の表現となっているのだ。

シクリャローフは、何よりまず登場シーンで舞台がパーッと明るくなったことに驚いた。これならふたりの女性に思いを寄せられるのも納得。そうか、『愛の伝説』って、結局、人は見た目が大事、って話だったのか(違う)。
踊りに関しては、それはそれは見事でした。ンが、3幕のメフメネ・バヌーとフェルハドのパ・ド・ドゥでリフトをしくじりやがりましたよ。何とか持ち上げたからよかったものの、サポートは相変わらずなのね。

道化のバイボルディン。登場してすぐの跳躍が高く、そのうえ滞空時間も長く、感心いたしました。小柄なのが惜しいわ〜。

オーケストラも徐々に調子を上げてきている。『ジュエルズ』が60%くらいの出来なら、昨日の『愛の伝説』は80%、ンで、今日は文句なしに100%! 特に、トランペットは聴き惚れました。

最初のカーテンコールにはシクリャローフも登場し、急な代役を勤めたエルマコフを自ら呼び込んで、感謝の意を伝えたり。それ以降はふたりとも現れず、ズヴェレフひとりでシリンキナとテリョーシキナをエスコート。

ってことで、カンパニーが一丸となってアクシデントを乗り越え、素晴らしい舞台を見せていただきました。心よりお礼申し上げますと共に、シクリャローフの一日も早い回復をお祈り申し上げます。

|

« マリインスキー・バレエ 2015年日本公演『愛の伝説』 | トップページ | ウラジーミル・シクリャローフは『ロミオとジュリエット』を降板 »

2015年鑑賞記録」カテゴリの記事