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2016年3月 8日 (火)

ハンブルク・バレエ団 2016年日本公演 ガラ公演《ジョン・ノイマイヤーの世界》

2016年3月4日(金)〜13日(日) 東京文化会館
http://www.nbs.or.jp/

[振付・演出・ナレーション]ジョン・ノイマイヤー
※『作品100──モーリスのために』以外すべて抜粋上演

仕事が立て込んでいて、開演時間ギリギリの到着。入口ではキャスト表すら貰えず(休憩時間に入手したけど)、何が何やらわからないうちに始まる。昨日までスタジオで仕事をしていたせいか、耳が良質な音に慣れてしまって、文化会館のスピーカーが耐えられない。そんなこんなで、些か置いてきぼり気分の3時間でございました。トホホ。

【第1部】

『キャンディード序曲』(『バーンスタイン・ダンス』より)
[音楽]レナード・バーンスタイン

ロイド・リギンズ、レスリー・ヘイルマン、有井舞耀、コンスタンティン・ツェリコフ、菅井円加、カーステン・ユング、ほか

ノイマイヤーの半生を自らの語りと作品で綴った壮大な叙事詩とでも言いたくなるような。リギンズは狂言回し的な役割。ノイマイヤーの分身として、時に作品の一部となり、時に傍観者となり、舞台に居続ける。

よくあるガラ公演とは違って、コール・ドもがんがん踊る。この衣裳はジョルジオ・アルマーニだそうな。

『アイ・ガット・リズム』(『シャル・ウィ・ダンス?』より)
[音楽]ジョージ・ガーシュウィン

シルヴィア・アッツォーニ、アレクサンドル・リアブコ、ほか

ガーシュウィンは、散々、仕事で聴いてるからなぁ。
リアブコのポール・ド・ブラが大大大好き、と改めて思う。

『くるみ割り人形』
[音楽]ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー

エミリー・マゾン、ロイド・リギンズ、エレーヌ・ブシェ、アレクサンドル・トルーシュ

チャイコフスキーの音楽といい、抜粋された場面といい、実に、実に実にロマンティック!
ただ、後半のルイーズとドロッセルマイヤーのパ・ド・ドゥはウリヤーナ・ロパートキナとイーゴリ・コールプで観た『パヴロワとチェケッティ』を思い出し、うわぁ……(泣)と、なってしまった。

そう言えば、マゾンはジジ・ハイアットの娘なんですね。なるほど〜。

『ヴェニスに死す』
[音楽]ジョン・セバスティアン・バッハ

ロイド・リギンズ、カロリーナ・アグエロ、アレクサンドル・リアブコ

トーマス・マンの同名小説を原作とするバレエ。主人公を作家から振付家に置き換えるあたり、さすがはノイマイヤー、あざといです(褒めてます)。

ルキノ・ヴィスコンティ監督の映画が好きな者としては、ぜひ一度、全幕を観てみたい。

『ペール・ギュント』
[音楽]アルフレート・シュニトケ

アリーナ・コジョカル、カーステン・ユング

原作であるヘンリック・イプセンの戯曲に馴染みがないので、毎回、何の場面なんだろう? と考えているうちに終わってしまう。

『マタイ受難曲』
[音楽]ジョン・セバスティアン・バッハ

ロイド・リギンズ、ダリオ・フランコーニ、ほか

冒頭のコーラルに続いて〈ペテロの否認〉。フランコーニの迸るような踊りに、「もういいから、もうわかったから」と、後ろから抱きしめてあげたくなる。

キリストのリギンズが、これまたすげー存在感。以前はこの役をノイマイヤーが踊っていたそうな。

『クリスマス・オラトリオ I-VI』
[音楽]ジョン・セバスティアン・バッハ

ロイド・リギンズ、パトリシア・フリッツァ、レスリー・ヘイルマン、クリストファー・エヴァンス、菅井円加、レナート・ラドケ、ほか

一転して、舞台は祝祭的な喜びに満ち溢れる。この構成、この演出、巧いなぁ。

コール・ドでやたらと目を引く男性ダンサーがいたンだけど、誰かしらん? ちょっと小柄で、以前在籍していた服部有吉を彷彿させる。

【第2部】

『ニジンスキー』
[音楽]フレデリック・ショパン、ドミトリー・ショスタコーヴィチ

アレクサンドル・リアブコ、エレーヌ・ブシェ、アレッシュ・マルティネス、パトリシア・フリッツァ、ロイド・リギンズ、ほか

『春の祭典』初演、第一次世界大戦の勃発、狂気の兄スタニスラフの死、そして、妻ロモラの苦悩が、畳み掛けるように描かれていく。圧巻。

ニジンスキーのリアブコがそれはそれは痛々しく、再び「もういいから、もうわかったから」と、後ろから抱きしめてあげたくなる。切なくて、切なくて、切なくて……胸を抉られる。

コール・ドでやたらと目を引いていたダンサーは、ニジンスキーの兄を踊ったマルティネスだったみたい。

『ハムレット』
[音楽]マイケル・ティペット

アンナ・ラウデール、エドウィン・レヴァツォフ

『ニジンスキー』が圧倒的だったので、ほとんど記憶がありません。

『椿姫』第2幕のパ・ド・ドゥ
[音楽]フレデリック・ショパン

アリーナ・コジョカル、アレクサンドル・トルーシュ

トルーシュはどちらかと言うと小柄な方なので、ややもするとリフトが危なかしかったりするンだけど、それはそれとして、コジョカルとふたり、とても儚いセピア色の世界を築いていた。

『作品100──モーリスのために』
[音楽]サイモン&ガーファンクル

アレクサンドル・リアブコ、イヴァン・ウルヴァン

故モーリス・ベジャールの「70歳の誕生日のガラのためにノイマイヤーが創作した」作品。
ノイマイヤーが「モーリス・ベジャールも……中略……作品の中に生きている」と語るとおり、観客がこの作品を通してベジャールを思う時、彼は紛れもなく生きているンだよね。振付にベジャールを思わせる瞬間があって、何とも微笑ましい。

しっかし、リアブコとウルヴァンが一緒に踊る姿を目にすることができるなんて、幸せ〜。

『マーラー交響曲第3番』
[音楽]グスタフ・マーラー

シルヴィア・アッツォーニ、カーステン・ユング、ほか

ダンスの世界は「全身全霊を傾けることをつねに求められる世界」と語りながらも、「負担に感じたことはないし、この芸術が犠牲を求めるものだと感じたことはない。ダンスとは、愛するがゆえに行う仕事なのだ」とも。その言葉にグッときながらも、あんまり愛だ何だと言われると引いちゃうンだよなぁ(すみません、天の邪鬼で)。

幕切れ。舞台前方をゆっくりと歩いていくアッツォーニに向かい、思いっきり手を伸ばすノイマイヤー。ノイマイヤーで始まり、ノイマイヤーで終わるという、まさに円環を閉じるような構成は見事とは言え、どんだけ自分好きなんだよ、とも(いや、もう、ほんっとにすみません)。

私自身のコンディションが悪かったのか、それとも、以前ほどノイマイヤー作品にときめかなくなってしまったのか。とりあえず、リギンズ、ユング、ウルヴァンといったベテラン勢の健在ぶりを寿ぎたい。

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