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2016年8月21日 (日)

第23回 BeSeTo演劇祭 新潟 プレ企画 Noism0『愛と精霊の家』

2016年8月20日(土)〜21日(日) 彩の国さいたま芸術劇場 大ホール
http://www.noism.jp/

[演出・振付]金森穣 [美術]須長檀 [衣裳]中嶋佑一
[映像]遠藤龍 [照明デザイン]伊藤雅一(RYU)、金森穣
[原案]シアンの家(初演:2012年9月1日 高知県立美術館)
[使用テキスト]ウージェーヌ・イヨネスコ『椅子』(安藤信也 訳)

井関佐和子
山田勇気
小尻健太
奥野晃士
金森穣

赤と金を基調とした舞台。無造作に置かれた(ように見えるだけで、決して無造作に置かれたわけではない)椅子。天井から吊り下げられた無数の灯を受け、トルソーに着せた白いワンピースがほんのりと淡い光を放っている……。

金森と井関によるプライベートユニット“unit-Cyan”の『シアンの家』に山田、小尻、奥野を加え、さらに金森20歳のデビュー作『Under the marron tree』を組み込んで作られた作品。ラヴェル『亡き王女のためのパヴァーヌ』、シェーンベルク『浄夜』、マーラー『交響曲第5番 第4楽章 アダージェット』といったロマン主義の音楽に、イヨネスコ『椅子』のテキストを使用。

冒頭。黒尽くめの5人が登場すると、金森がソロで踊り始める。ん? もしかして踊る金森を観るのは初めて? 精緻なコントロールに瞠目いたしましたです。はい。いや〜、さすがだわ。

その後は、奥野、山田、金森、小尻とパートナーを変えながら、井関が〈人形〉〈舞踊家〉〈妻〉〈母になれぬ女〉を演じていく。
なんつーか、女の愛と孤独を描いているようで、その実、男の愛と喪失感を描いているようにも見えて。トルソーに着せた女の白いワンピースが最後に男の黒いジャケットに変わることを思えば、1周してくるりと逆転するメビウスの輪のようなものか?

ハーフミラーや影絵を使用した演出が秀逸。影絵では日常生活をコミカルに描いていて、そう言えば、金森は笑えるシーンをちょいちょい入れてくるよね、と(私が大好きなショスタコーヴィチ『ジャズ組曲 第2番 第2ワルツ』を使用していたので、余計、印象に残ってしまった)。終幕の井関のソロ『Under the marron tree』も圧巻。

ってことで、舞踊パートが素晴らしかっただけに、イヨネスコのテキストと奥野の台詞回しに違和感を禁じ得ない。確かに、SCOT(とそれに連なるSPAC)が実践しているスズキ・メソッドがNoismの身体表現に通じるのはわかるし、舞台芸術作品を上演するための専門家集団──それも地方発信の──同士の協働作業の大切さも理解しているけど、そもそもそんなに説明が必要な作品とは思えないわけで。もっと観客に委ねてもいいンじゃ?

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