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2017年2月24日 (金)

NODA・MAP 第21回公演『足跡姫 時代錯誤冬幽霊』

2017年1月18日(水)〜3月12日(日) 東京芸術劇場 プレイハウス
http://www.nodamap.com/

[作・演出]野田秀樹 [美術]堀尾幸男 [照明]服部基
[衣裳]ひびのこづえ [作調]田中傅左衛門 [サウンドデザイン]原摩利彦
[音響]zAk [振付]井手茂太 [映像]奥秀太郎 [美粧]柘植伊佐夫

三、四代目出雲阿国:宮沢りえ
淋しがり屋サルワカ:妻夫木聡
死体、売れない幽霊小説家:古田新太
戯けもの:佐藤隆太
踊り子ヤワハダ:鈴木杏
万歳三唱太夫:池谷のぶえ
伊達の十役人:中村扇雀
腑分けもの:野田秀樹

囃子:田中傅左衛門、望月太喜十朗
笛:田中傅三郎

野田秀樹が中村勘三郎と一緒に作った歌舞伎三作『野田版 研辰の討たれ』(2001年、2005年)、『野田版 鼠小僧』(2003年、2009年)、『野田版 愛陀姫』(2008年)が随所に思い浮かぶ。

幕切れ。劇場に響くはマスカーニのオペラ『カヴァレリア・ルスティカーナ』の間奏曲。姉の亡骸を抱き締めながら、サルワカは叫ぶ。

幕だ! 幕を引いてくれ!
ここで幕が引かれさえすれば、芝居になる。
幕の後ろで、姉さんはケロッと起き上がる。
ニセモノの「死」になる。
そしてまた明日も、姉さんは舞台に上がる。
……姉ちゃん、僕たちは舞台の上にいなくてはいけない。
何度も何度も、ニセモノの「死」を死に続けなくてはいけない。

そしてやがて初代の猿若勘三郎の肉体も消える。
だが消えても、消えたのに消えることなくずっと続いてみせる、
僕が掘った穴から、地球の反対側からいずこのお国の故郷から、
次々と現れる、二代目、三代目、
……いやもっと、六代、七代……
ううん、十二、十三、十四、十五、十六、十七、十八……
少なくとも十八代までは。

でもそこできっと、姉さんのひたむきさは生き返る。
あの無垢の板で出来た花道の先、大向こうで、
ひたむきな心は、生き返る。

ある意味、このサルワカの台詞のためだけに書かれたような芝居。

決して、野田の過去の諸作と比べて出来がいいとは言えないし、メインキャストのバランスも完璧とは言い難く、「肉体の芸術にささげた」勘三郎や三津五郎への、野田の“思い”だけで突っ走っている気がしないでもない。親しい仲間を亡くした喪失感の中にも、未来に向けた決意──これからも俺は芝居を作っていくよ、舞台に立っていくよ──を感じられたことが、せめてもの救いか。

ヤワハダの鈴木杏、いつの間にかいい舞台女優になりましたね〜。
万歳三唱太夫の池谷のぶえ、その巧さには、毎回、唸らされる。

カーテンコールの最後に野田の座礼。いつもは千穐楽で目にするので、何かちょっと新鮮(野田にとって、本作はそれだけ特別、ってことなんでしょう)。

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NODA・MAP第21回公演『足跡姫』~時代錯誤冬幽霊~ ゲネプロより

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