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2017年9月 7日 (木)

シス・カンパニー公演 KERA meets CHEKHOV Vol.3/4『ワーニャ伯父さん』

2017年8月27日(日)〜9月26日(火) 新国立劇場 小劇場
http://www.siscompany.com/

[作]アントン・チェーホフ
[上演台本・演出]ケラリーノ・サンドロヴィッチ
[美術]伊藤雅子 [照明]関口裕二 [衣装デザイン]伊藤佐智子
[音響]水越佳一 [ヘアメイク]宮内宏明

ワーニャ伯父さん:段田安則
エレーナ:宮沢りえ
ソーニャ:黒木華
セレブリャーコフ:山崎一
アーストロフ:横田栄司
マリーナ:水野あや
下男:遠山俊也
ウォイニーツカヤ夫人:立石涼子
テレーギン:小野武彦

ギター演奏:伏見蛍

チェーホフの4大戯曲(『かもめ』『三人姉妹』『ワーニャ伯父さん』『桜の園』)にケラリーノ・サンドロヴィッチが挑む【KERA meets CHEKHOV】第3弾。

チェーホフって、『ワーニャ伯父さん』って、こんなに面白かったのか! と、目から鱗がポロポロと。ついでに、涙もポロポロと。

メチャメチャ身につまされましたです。はい。親の介護やら何やらで生活がガラッと変わり、私なんかよりたいへんな思いをしている人は他にもたっくさんいることを頭ではわかっていても、心がついていかなくて、なんで自分だけこんな目に……と、口を開けば愚痴ばかり。

そんな状況だから、同じように「愚痴を垂れ流して過ごしている」登場人物たちに、一々、共感してしまい、やたらと涙が零れて困りました。特に、幕切れのソーニャの台詞にはさめざめと泣いてしまった。割とあっさりしたカーテンコールに、「ちょっ、お願いだから明るくならないで、客席」と慌てふためく始末。

今の私が必要としていたのは、野田秀樹でも松尾スズキでもなく、KERA(とチェーホフ)だったのか……。自分でも意外。

台詞の改変はほとんどしていないのに、100年以上も前に書かれた人物たちが、物凄くリアルに迫ってくる。それはもちろん、KERAの丁寧な演出の賜物なんだけど、今も昔も人間のやることに変わりはないのかも。いや、だって、あの頃からすでに自然保護を訴えてるわけですよ。アーストロフはエコな生活を提唱してるし。そう考えると、人間って、ほんっとに学習しない生き物なんだな、と。

椅子に腰掛けているだけでウォイニーツカヤ夫人になっている立石涼子。満面の笑みにテレーギンの悲哀を滲ませる小野武彦。このふたりのベテランの妙味に酔いしれる。と同時に、若さと諦観が同居するソーニャを鮮明に描き出した黒木華も忘れ難い。

布と照明の使い方(影絵のようでもあり、単調になりがちな1幕に彩りを添えていた)とギターの生演奏による音楽(テレーギンがギターを弾く場面では、小野は当て振りをしていた)が印象に残る。

それにしても、この人たちには神様がいるから、死ねば息がつけるようになるのかも知れないけど、信仰心の欠片もない人間はどうしたらいいのかしらん?

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