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2018年3月24日 (土)

歌舞伎座百三十年 三月大歌舞伎 夜の部

2018年3月3日(土)〜27日(火) 歌舞伎座
http://www.kabuki-bito.jp/

Saidan_jaku

大間に設えられた四世雀右衛門の祭壇。大好きでした。ンが、どうしても昼の部の七回忌追善狂言『男女道成寺』は観られなくて。ぐうぅ、残念。

『於染久松色読販』

土手のお六:坂東玉三郎
山家屋清兵衛:中村錦之助
髪結 亀吉:坂東亀蔵
庵崎久作:嵐橘三郎
油屋太郎七:坂東彦三郎
鬼門の喜兵衛:片岡仁左衛門

鶴屋南北作『於染久松色読販』から、土手のお六と鬼門の喜兵衛という「悪の魅力に富んだ」夫婦が活躍する《小梅莨屋》と《瓦町油屋》のみ上演。

お六の玉三郎も喜兵衛の仁左衛門も当たり役。まさに絶品。ンが、その割には、芝居としては盛り上がらず。ま、あれこれ考えず、仁左衛門と玉三郎の共演を楽しめばいいのかな。

ちなみに、玉三郎と仁左衛門が同役で共演するのは41年ぶりらしい。

『神田祭』

鳶頭:片岡仁左衛門
芸者:坂東玉三郎

鳶頭の仁左衛門に芸者の玉三郎。いや、もう、とにかく眼福。息が合うとはこういうことか……と、改めて思う。引っ込みのいちゃいちゃぶりなど、観ているこちらが照れるほど(笑)。

ただ、仁左衛門の鳶頭は、菊五郎や、今は亡き勘三郎、三津五郎らの、あたかも江戸っ子の心意気を体現したかのような「粋でいなせな鳶頭」とは別物なんだよね。

しっかし、例の聴くに堪えない清元は何とかならんのか? 玉三郎がよく我慢してるよな。

『滝の白糸』

滝の白糸:中村壱太郎
村越欣弥:尾上松也
南京寅吉:坂東彦三郎
松三郎:坂東亀蔵
桔梗:中村米吉
裁判長:中村吉之丞
郵便配達夫:中村寿治郎
お辰:中村歌女之丞
欣弥の母 おえつ:上村吉弥
太夫元 青柳太吉:坂東秀調
春平:中村歌六

原作は泉鏡花の小説『義血侠血』。新派の代表作であり、《八重子十種》にも入っている。今回は「白糸を過去五度演じた玉三郎」が演出を担当。脚本は高田保。

上演記録を確認すると、歌舞伎座では昭和56年の一度しか上演されていない。その時も新派公演なので、歌舞伎公演としては初めてとなる。

ワタクシ的には、春平の歌六に尽きる。「先代からのお囃子」という台詞もあるけど、白糸を幼い頃から見守り続け、我が子同然に思っているであろう彼の心情が、痛いほど伝わってくる。

白糸の壱太郎、一座を率いる売れっ子芸人の豪放さや欣弥への援助を酔狂と言い放つ鉄火さなどは物足りなかったものの、恋する娘の初々しさはよく出ていた。四幕二場の法廷場面は、終始、客席に背中を向けたままなので、さすがに荷が重かったか。でも、27歳という若さで、しかも初役となれば、大健闘でしょう。水芸も破綻なく。

村越欣弥の松也、白糸を尋問する明瞭な口跡に苦渋が滲む。
南京寅吉の彦三郎、憎々しさの中に芸人としての愛嬌も感じさせて好演。

新派を観ていないので定かではないけど、基本的な演出や美術、特に、法廷──正面奥に裁判長らの席、それに向かい合う形で証人席(証人は観客に背を向けて立つことになる)、上手に傍聴人席──は新派に準じていると思われ。だからこそ、歌舞伎座だと違和感を覚えるのかな。新橋演舞場だったら気にならないンでしょうね。たぶん。

あと、歌舞伎座でも上演されてきた『天守物語』『夜叉ケ池』『海神別荘』などは鏡花自身による戯曲、本作は新派のために脚色されたもので鏡花自身による戯曲ではない、という違いは、案外、大きいのかも。

それはそれとして、『神田祭』で追い出しの方がよかったな(いろいろ事情はあるンでしょうけど)。

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