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2018年11月23日 (金)

十一月新派特別公演『犬神家の一族』

2018年11月14日(水)〜25日(日) 新橋演舞場
https://www.shochiku.co.jp/shinpa/

[原作]横溝正史 [脚色・演出]齋藤雅文 [美術]古川雅之
[照明]北内隆志 [音楽]甲斐正人 [効果]内藤博司

宮川香琴:水谷八重子
犬神松子:波乃久里子
犬神竹子:瀬戸摩純
犬神梅子:河合雪之丞

犬神佐清、青沼静馬:浜中文一
野々宮珠世:春本由香

金田一耕助:喜多村緑郎
古館恭三:田口守
橘警察署長:佐藤B作

犬神佐武:河合穗積
犬神小夜子:鴫原桂
犬神佐智:喜多村一郎

筋書(新派はプログラムかしらん?)を買わなかったので、スタッフ、キャストはわかる範囲で。↑の他、刑事に市村新吾、婿養子(竹子と梅子の夫)に児玉真二と鈴木章生、神官に只野操、鑑識課員に河合誠三郎だったような。

6月に『黒蜥蜴』(感想はこちら)を観た時にも思ったけど、昭和の探偵小説と新派はとても親和性が高い。今回も、新派の型や様式美が横溝の世界観にピタリと嵌っていた。この路線を続けていくのは充分ありでしょう。

課題は脚色と演出かな。

華やかな冒頭。犬神佐兵衛の傘寿祝いで一族の人間をさらりと紹介するのは巧い。ただ、楽しげな雰囲気が出過ぎていて、佐兵衛がいい爺ちゃんにしか見えない。ここはちゃんと不穏な空気を醸し出しておいてくれないと。

一幕の最後で犯人を明かしてしまったり、金田一がそれほど活躍しないのも、推理劇としては物足りない。

『犬神家』と言えば、家父長制の犠牲となった女たちの悲劇なわけで。終盤の謎解きでいきなり反戦が語られるのには違和感を覚える。確かに戦争も影を落としてはいるンだけど、すべてを戦争のせいにしてしまうのは如何なものかと。

新橋演舞場は、歌舞伎座ほどではないにしても、間口が広く、舞台装置を作り込みたくなる気持ちはわかるし、作り込んだ割には転換もspeedy(吊るした襖を上下したり、盆を回したり、照明で工夫したり)だったけど、それでもやはり間延びしていたのは否めない。もう少し時代のテンポに合った形にできないものか?

原作では、佐清のマスクは怪我をする前の美しかった顔をそのまま写したものとなっていて、今回の舞台でもそういった趣旨の台詞が出てくるのに、実際のマスクは例の白いマスク、ってどういうこと?(ってゆうか、これ、市川崑監督の映画『犬神家の一族』の呪縛だよな)

市川崑監督の映画と言えば、金田一の登場で大野雄二(映画で音楽を担当)の『愛のバラード』が流れるのはご愛嬌?

終わってみれば、一番印象に残ったのは香琴の水谷八重子。原作通りの設定で、復讐の連鎖とその虚しさを見事な台詞術で聞かせる聞かせる。
あと、春本由香が尾上松也にしか見えなかったこと。兄に激似です。

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